アフターコロナの消費者はこう変わる

業績悪化が続くアパレル企業。直接の要因はコロナ禍の臨時休業や営業時間短縮だが、この間に人々が「服は毎シーズン買わなくても事足りることに気づいたのではないか」という指摘もある。これからのアパレルは何を売るのか。新興ECや大手・ワールドの取り組みからその針路を探った。

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コロナ禍で苦境に立つアパレル業界。withコロナ時代の生き残り方とは?(写真/shutterstock)
コロナ禍で苦境に立つアパレル業界。withコロナ時代の生き残り方とは?(写真/shutterstock)

 「コロナ禍をへて買い物はレジャーとしての側面が強まった」。伊藤忠ファッションシステム(以下、ifs)の第1ディビジョンマーケティング開発第1グループの太田敏宏氏は、アフターコロナ/withコロナ時代の消費者行動をそう分析する。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、アパレル企業が苦境に立たされている。老舗レナウンが2020年5月に経営破綻。帝国データバンクが、衣服類販売を手がける上場企業(または上場グループ中核企業)のうち、ウェブサイトなどで月次売上高を公表している23社を対象に行った調査では、20年5月の月次売上高が全店ベースで前年同月を下回った企業が21社に上った。

 業績不振の直接の原因は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗の臨時休業や営業時間短縮と言われている。だが、より深刻な問題として太田氏が指摘するのが「本来、洋服は毎シーズン買わなくても事足りるということに消費者が気づいてしまったのではないか」ということだ。自粛期間中に営業していた企業も売り上げが振るわず、ECを展開している企業もリアル店舗の落ち込みをカバーできなかったことをその証左とみる。

 一方で、ifsが20年4月に全国の20~50代の男女1106人を対象に行ったウェブ調査では、「買い物はしたい」という消費者心理が浮き彫りになった。新型コロナウイルス問題が収束したら「洋服を買いに行きたい」と答えた人が44.1%いたのだ。

 服は十分持っている、それでも服を買いたい、服を買うこと自体を楽しみたいという心理。裏を返せば、購買意欲を駆り立てるのはモノとしての服ではなく、服を買う行為自体ということになる。「モノとしての洋服の需要はもうないのかもしれない」というのが太田氏の見方だ。

 そんな時代にアパレルは何をすべきか。太田氏が注目するのはこだわり層だ。「今後、外出自粛や在宅勤務が続けば、外向けに“装う”機会が減る。服への意欲は減退し、シーズンに関係なく着られるリラックスウエアがあればいいという人が増えるだろう。その一方、よりアクティブにファッションを楽しみたい層、服を買うこと自体を楽しむ層も一定数いる。これからのアパレルを支えるのはこうしたこだわり層だ」。リアル店舗にしろECにしろ、この層に支持されるような商品を発信していかなければ、アパレルは生き残れないと太田氏は示唆した。

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