
特集の第3回は、コロナ禍におけるキーワード「4つのY」を提唱したD4DR社長の藤元健太郎氏が、アフターコロナの消費者像を予測する。日本の消費者は「江戸時代にまでタイムスリップする」という仰天の見立てを披露。また、日本ブランドが復活するための道筋についても予測。その心を聞いた。
コロナ禍の20年4月17日に公開し、非常に多く読まれたのが、withコロナの4つのキーワード「トレーサビリティー」「フレキシビリティー」「ミックスドリアリティー」「ダイバーシティー」を示した「『コロナ前』にはもう引き返せない 未来を読み解く『4つのY』」。この記事を寄稿したD4DR社長の藤元健太郎氏は、今後の消費者像についても大胆な2つの仮説を立てる。
1つめは、「アフターコロナの消費者は、江戸時代の町人のような生活に戻ることになる」というものだ。
藤元氏は、「新型コロナウイルスは工業化社会にとどめを刺した」と語る。明治の殖産興業以降、現在に至るまでの日本は、地方から東京などの都市圏に人口を吸い上げる構造だった。一昔前までは都市部に工場があり、労働力を集約することに意味があった時代だったが、既に工場は地価の安い郊外や地方へと移っている。都市部で働いているのは、今やホワイトカラーばかりなのだ。
工場労働者でもない彼らが、わざわざ毎日オフィスに集まって働く必要があるのだろうか? そんな疑問を白日の下にさらしたのが、皮肉にも新型コロナウイルスの感染拡大だった。テレワークを経験したビジネスパーソンは、「オフィスに行かなければ仕事ができない」というのが単なる思い込みだったことに気づいた。これが藤元氏の言う「とどめ」であり、アフターコロナの消費者はテクノロジーの力を借りながら、江戸の町人の生活習慣、名付けて「超江戸社会」へと逆回転を始めると予測する。
江戸の町人社会とはどのようなものだったのか。15代にわたって徳川幕府が治めた江戸時代。外国との戦争はおろか国内での大きな政局不安もなく、世界的に見てもまれな、250年以上もの平和が続いた。その結果、花開いたのが町人社会や町人文化だ。江戸の町人たちは長屋に住み、助け合い、娯楽や銭湯を楽しみ、時には旅行に赴くなど、生き生きと人生を謳歌していた。
この町人社会のどこにアフターコロナのヒントがあるのか。事例を交えて説明していこう。
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