広告付き動画サービスが急増?

 米国では5G時代の到来を見越し、新たな動画配信サービスが次々に立ち上がっている。19年12月に米国でサービスを開始し、日本でも20年6月にウォルト・ディズニー・ジャパンとNTTドコモが共同で開始した「Disney+」や、デジタル技術見本市「CES2020」で大きな注目を浴び、20年4月に開始された次世代モバイル動画サービス「Quibi」などはその一例。これらのネット経由で番組や動画コンテンツを提供するサービスは、OTT(オーバー・ザ・トップ)と呼ばれている。米国には、広告を視聴することで動画コンテンツを視聴できるビジネスモデル「AVOD(アドバタイジング・ビデオ・オン・デマンド)」を採用したOTTが多数存在する。日本では在京民放5社が共同提供するスマホアプリ「TVer」が代表的なAVODとなる。

20年6月にウォルト・ディズニー・ジャパンとNTTドコモは共同で「Disney+」を開始した(C) 2020 Disney and its related entities
20年6月にウォルト・ディズニー・ジャパンとNTTドコモは共同で「Disney+」を開始した(C) 2020 Disney and its related entities

 コロナ禍でOTTの動画サービスの利用が加速することで、メディアとしての価値が大きく高まる。そうしたサービスの広告活用は動画マーケティング市場において、重要性がさらに増す。

 新型コロナの感染拡大以降、オンライン動画によるマネタイズにかじを切り始めているのがスポーツや音楽などのエンターテインメント領域だ。19年米国のスポーツ業界が放映権で得た収益の総額は209億ドルとなり、既にチケットやスポンサーシップ、グッズ収入を上回った成長率を見せている。

 日本においても15年に設置されたスポーツ庁の下、16年に「スポーツの成長産業化」が官民戦略プロジェクトに採用され、既に国策化している。このプロジェクトでは、25年までにスポーツ市場の規模を15兆2000億円へ拡大することを目標としているが、イベント自粛の状況で当面はチケット収入が期待できない状況だ。そこでOTTを含むネット上の動画配信がマネタイズの手段として再注目されることになるだろう。

 また、ライブ配信も5Gにより市場拡大が予想されている。日本では、インターネットライブ配信を利用して商品を販売するライブコマースが中国や韓国に比べ定着しているとはいえない。まだまだ一般的な知名度は低いものの、「SHOWROOM」や「17 Live」といったライブ動画配信サービスは着実に利用者を増やしている。それらのサービスで日夜動画を配信する「ライバー」と呼ばれる視聴者を多く抱える配信者の存在感が増せば、サービス拡大が遅れていた日本でもライブコマースが離陸しそうだ。

「17 Live」は全世界で利用者数が4200万人を超えた。日本でも利用者が増加している
「17 Live」は全世界で利用者数が4200万人を超えた。日本でも利用者が増加している

 本連載では、4Gとスマートフォンの普及により大きく成長してきた動画市場が、5G普及や新型コロナウイルスによってどのように変化し、それによって動画マーケティングはどのように変わっていくのかについて、今回挙げた「動画広告」「イベント」「ライブ配信」3テーマで全5回にわたって掲載していく。次回は動画広告のトレンドについて詳しく解説していきたい。

■修正履歴
・スマートフォン利用者1人当たりの月間動画視聴時間のグラフを修正しました。[2020/6/17 13:30]