新型コロナウイルス感染の世界的な拡大により、誰も予想し得なかった「100年に一度」の大変革が世界規模で進行している。この未曽有の事態に企業と個人はどう対応すべきか。人気連載「場の革命」の筆者である顧客時間(大阪市)共同CEO(最高経営責任者)の奥谷孝司氏と岩井琢磨氏がその答えを探る。

米国では新型コロナウイルス感染拡大を受けて、米アマゾン・ドット・コム傘下の「ホールフーズ・マーケット」などが、いくつかの店舗をオンライン対応専門の「ダークストア」に変えた(写真/Shutterstock)
米国では新型コロナウイルス感染拡大を受けて、米アマゾン・ドット・コム傘下の「ホールフーズ・マーケット」などが、いくつかの店舗をオンライン対応専門の「ダークストア」に変えた(写真/Shutterstock)

 前回の連載「場の革命」からほぼ1年ぶりとなるこの原稿を、筆者である奥谷孝司と岩井琢磨は、それぞれの自宅で書いている。コロナ禍の影響で、リモートワークをしながら週の大半を自宅で過ごしているからだ。

 今回のような「100年に一度」ともいわれる環境変化に対し、多くの人が生活者としてだけではなく企業人としても、数カ月にわたって「今の難局をどう乗り切るのか」を考え、対応に追われ続けたことだろう。

 しかしこの難局をどうにか乗り切ったとしても、日常生活が完全に以前の状態には戻りそうにないことが、「新常態」や「新しい日常」という言葉が示す通り、明らかになってきた。つまり我々は今を生き延びる短期的な対応を取りながらも、5年後、10年後のことを同時に考える必要に迫られている。

 そこに正解はなく答えは誰も教えてくれないが、少なくとも目に見える顧客の変化からこの先の行動を考えることは、企業人の誰もが取り組まねばならない大きな課題だろう。

◆「場の革命 実践編」に関するステートメント
・今、顧客と企業がつながる「場」は急激に変化している
・これまでも多くの企業がチャネルをオンラインへとシフトし、デジタルによる顧客との直接的なつながりを築いてきた。コロナショックはこの流れを急激かつ不可逆的に進めることになった
・単なるチャネルのデジタルシフトだけでは生き残れない。それは課題の本質ではない
・新時代において企業はどのような顧客とのつながりを、どのような場で、どんなモデルで築くのか。顧客とつながる「場」の戦略的価値の転換を、オンラインかオフラインかを問わず実現すべきだ
・連載では「顧客とのつながり」(Engagement)を実務家の視点から考察する。さらに顧客とのつながりを築く「場」(Place)をいかに実現するかについて、独自フレームワークと国内外の先行事例を用いて具体的に解説。「場の革命」の起こし方の提唱を試みる
・筆者の挑戦が、新時代のマーケティング戦略の一助となることを願う

コロナで起きた変化(1) 暮らしのデジタルシフト

 今回のコロナ禍がもたらした最も明確な変化は、生活のあらゆる局面における顕著なデジタルシフトである。仕事のみならず、教育や買い物など、暮らしの多くがデジタルへシフトした。しかも急激に、である。

 筆者は常に顧客とのつながりを基点とした「デジタルトランスフォーメーション」(DX)の重要性を訴えてきたが、それが企業努力の結果ではなく、顧客の生活変化に対応する形で一気に強制的に実現することになった。いわば「暮らしのデジタルシフト」が、企業側の改革を追い抜いてしまったというわけだ。

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