中国EC(電子商取引)最大手のアリババ集団は2023年3月3日、中国教育発展基金会と共同で取り組む、農村部向けにデジタル技術を通じて教育を支援するチャリティープロジェクト「少年クラウド教育支援計画」の進展について公開した。プロジェクト開始1年あまりで、クラウドに接続する専用コンピューター「クラウドコンピューター」を、中国の20のエリアで約4万5000人の生徒に提供し、農村部のクラウド環境を整えつつある。
「少年クラウド教育支援計画」は、2021年10月にアリババが本社を置く浙江省杭州市で開催した年次大型テクノロジーカンファレンス「2021 杭州・雲栖大会(APSARA Conference)」で発表されたプロジェクトで、アリババが中国教育発展基金と共同で推進する。このプロジェクトは、開発が遅れている農村部での教育リソースの不足を補い、地域による教育リソースの格差を小さくすることを目指して取り組まれるチャリティー活動だ。
プロジェクトに提供されるクラウドコンピューターは、アリババがオフィス向けに開発した、クラウドと端末(エッジ)側のコンピューターを一体化したコンピューター「無影(ウーイン)」をベースにしている。見た目は普通のコンピューターだが、本体がない。つまり、CPU(中央演算処理装置)もなく、メモリーもハードディスクもなく、それらはクラウド上のサーバーによって補われている。
▼関連記事 アリババ 最新スマートオフィスソリューションを発表クラウドコンピューターは、従来のコンピューターが抱えていたいくつかの課題を解決している。例えば、反応の遅さや負荷がかかるソフトウエアを起動するとフリーズしてしまうといったスペックによる課題については、クラウド上でスペックを調整することで解決した。また、これまでは多数のコンピューターを管理する際、セットアップやソフトウエアのインストールなどの作業を1台ずつ重複して行うという煩雑さがついて回ったが、クラウドコンピューターであれば、クラウドを通じて、一度に多数のコンピューターについて調整やアップグレード、アプリケーションのダウンロードなどが可能で、煩雑さが低減する。
加えて、教師の業務もより便利になる。各教員のドキュメントなどがクラウド上に保存されるため、授業後に別の場所にある他のPCなどのデバイスからクラウド上にログインすることで、生徒のテストの採点といったドキュメントの編集作業を、場所にかかわらず進めることができる。
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