中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)傘下のクラウドサービス「騰訊雲(テンセントクラウド)」は2023年2月、同社の太極(タイジ―)機械学習プラットフォームと連携し、AI(人工知能)画像生成および編集技術サービス「騰訊雲AI絵画」の外部提供を開始していることを公開した。このサービスは、入力した画像やテキストを結合し、入力内容に沿う高品質な画像コンテンツを高効率かつ柔軟に生成できるものだ。
絵画のデザインを手掛けるプロフェッショナルにとって、創造性の発揮と作業効率の向上の間の矛盾は、かねてからバランスを取るのが困難な問題であり続けてきた。とりわけ、商業活動の一部においては、創造性と作業効率のどちらを優先させるべきかという二者択一の選択を迫られることもある。しかし、AI技術とデザイン、アートなどの領域の融合が進むにつれ、テンセントはそれら二者間の矛盾を解決できる新たな可能性を模索している。
AIファンデーションモデル(大量の言語や画像データを使って訓練する大規模なAIモデル)の開発を先頭に立って担うテンセントの太極(タイジー)アルゴリズムチームは、検索、NLP(自然言語処理)、そしてAIGC(AI生成コンテンツ)などの領域において、これまで深い蓄積を形成してきた。テンセントは、この太極機械学習プラットフォームを頼りに、1億以上のパラメーター数を持つデータに対応した自然言語ファンデーションモデル「混元(フンユェン)」の自主研究開発に成功した。このファンデーションモデルは、業界で権威あるランキングに複数回ランクインしているほか、広告や検索、そして対話などのシーンにおいて既に実装されている。
その実装事例の1つとして、テンセントが新たにサービスの提供を開始したのが、AI画像生成および編集技術サービス「騰訊雲AI絵画」だ。
AIGCプロダクト「騰訊雲AI絵画」の5つの強み
騰訊雲AI絵画は、AIGC分野の同類の製品と比較した場合、5つの優位性があるという。
1つ目は、アルゴリズムを自主研究開発していることだ。テンセントは、画像とテキストのマッチングを行う自主研究開発モデル「太極CLIP」とそのモデルを基に開発した、入力したテキストから画像を生成するモデル「太極文生図(ウェンシェントゥー)」をアルゴリズム技術のコア部分としている。その能力は、画像やビデオといった異なる複数種の情報媒体による表現や検索、そしてその生成において、業界内でも最先端のレベルに達しているという。
2つ目は、多様なスタイルに対応していることだ。騰訊雲AI絵画は、数十種類の異なるスタイルの選択肢を提供。例えば、中国風やアニメ風、ゲーム風、そして伝統的な絵画風など異なるスタイルの画像の生成とスタイルの変換に対応している。加えて、異なるスタイルに対して、自己学習を行う能力も持ち合わせている。
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