中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)傘下の地図サービス「百度地図(バイドゥマップ)」は2022年12月30日、デジタルツイン版地図サービス「百度数字学生地図(バイドゥデジタルツインマップ)」を発表した。この地図は現実世界の空間とそこでのリアルタイムな動きを、仮想世界にそのまま再現するデジタルツインを活用した新たな地図サービス。バイドゥは同地図サービスを通じて、中国の各業界のデジタル化の強化を促進する考えだ。

「百度地図(バイドゥマップ)」の総責任者である厳孫栄(ゲン・ソンエイ)氏が「百度数字学生地図(バイドゥデジタルツインマップ)」を発表する様子(画像はバイドゥのニュースリリースから)
「百度地図(バイドゥマップ)」の総責任者である厳孫栄(ゲン・ソンエイ)氏が「百度数字学生地図(バイドゥデジタルツインマップ)」を発表する様子(画像はバイドゥのニュースリリースから)

 バイドゥデジタルツインマップは、バイドゥマップ上の地図データやサービス、そして情報発信機能を統合し、空間ツイン(現実世界の空間を仮想世界で再現)、リアルタイムツイン(現実空間の状態をリアルタイムで、仮想世界で再現)、そして1枚の地図モデル(1つの地図上に複数のプロジェクトを同時に反映するモデルのこと)の3つを実現している。

 空間ツインでは、2次元構造と3次元構造を一体化するエンジンが、現実世界のデータに基づき、都市、交通、商業施設、高速道路、自然地形、そして園区(工業団地や開発地区などの指定のエリア)という6つの基礎となる仮想空間上のシーンを作り上げる。リアルタイムツインでは、交通状況や人の流れ、車両位置、事象などの各種のリアルタイムデータを、別のエンジンを使って地図上に反映している。

 加えて、地図を表示するプラットフォーム能力の向上により、1つの地図に1つのプロジェクトを反映する従来のモデルから、1つの地図上に複数のプロジェクトを同時に反映する新しいモデルへ刷新した。これにより、あらゆる業界が同じ地図上で同時にデジタルツインを実用化できるようにしている。

バイドゥデジタルツインマップの4つのポイントとは

 バイドゥマップが新しく発表したバイドゥデジタルツインマップには、4つの注目すべきポイントがある。

 1つ目は、業界トップクラスの地図データサービス機能だ。バイドゥマップは、リアルタイムで更新される都市道路のデータや「POI(Point of Interest、地図上の特定の点)」データ、超高画質の全景データなど、幅広いタイプの大規模な地図データのリソースを有する。そのデータは、中国全土の全ての地域を対象としている。

 同時に、バイドゥマップは、地図データ生成ライン「OneMap」を採用した。バイドゥデジタルツインマップのデータは、この生成ラインを通じて、バイドゥの自動運転や自動車の車載情報システム上の地図機能、スマートフォン上の地図アプリの地図データを収集して活用している。

バイドゥデジタルツインマップの活用シーンには、都市、そこでの交通、商業施設、高速道路、自然地形、そして園区も含まれる(画像はバイドゥのニュースリリースから)
バイドゥデジタルツインマップの活用シーンには、都市、そこでの交通、商業施設、高速道路、自然地形、そして園区も含まれる(画像はバイドゥのニュースリリースから)

 2つ目は、強大な地図エンジンサービス機能だ。バイドゥデジタルツインマップは、単純な視覚上のデジタルツインにとどまらず、通常の地図サービスに見られる基礎的なサービスから高度なサービスまでを含んだ地図製品となっている。加えて、地図上などで動く業務用アプリケーションの豊富な機能にも対応している。

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