中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は2022年11月18日、中国第一汽車集団と独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の合弁による自動車ブランド一汽-大衆汽車(一汽VW)とともに、一汽VWの新車「攬巡(Tavendor)」の発表会「巡夢之旅(Tavendor Life)」を開催した。CG(コンピューターグラフィックス)アニメレベルのメタバース技術が活用され、消費者は自身のアバターを作成してメタバース空間に入り、乗車の体験ができる没入感ある発表会となっている。
一汽VWは、イノベーティブな発表会を目指して試行錯誤を重ねている。その取り組みの中で、ターゲットである顧客の需要把握に関するインサイトに基づき、テンセントと連携し、率先してバーチャルマーケティング領域における実践を進めている。テンセントは、ネット広告事業を手掛ける「騰訊広告(テンセント広告)」と動画配信の「騰訊視頻(テンセントビデオ)」が連携して本プロジェクトに関わっており、自身のコンテンツ関連の経営資源を存分に活用して、「メタバースマーケティング」の実現を目指している。
テンセント広告とテンセントビデオによるコンテンツの生産力とカスタマイズ力に加え、ハイクオリティーなコンテンツストーリーの創作チームやメタバース技術チーム、そしてアニメ制作チームなども、このプロジェクトのために結集している。そして、テクノロジーとアートを組み合わせた、人とモノ、シーンの3つが連動したいわゆる「パラレルワールド」を目指し、SNSアプリ「微信(ウィーチャット)」内で開けるアプリ内アプリである「小程序(ミニプログラム)」によって実現している。
メタバースをフル活用した新車のマーケティングとは
今回の発表会は、以下のような流れで、参加者(ユーザー)が没入体験を楽しめるようになっている。まずユーザーがミニプログラムにログインし、今回の発表会のページに入ると、ユーザーはそこで自分のアバターを創作することができ、さらに気の赴くままにバーチャル空間内を移動することができる。ユーザーは、バーチャル空間内に用意された新車を運転し、シミュレーション技術によって、現実と見まがうような砂漠や森林、降雪地帯、都市などのシーンを疾走することができる。メタバース内のインタラクション技術とCGアニメレベルの視覚効果によって、リアルかつスムーズな新車の鑑賞体験がもたらされるわけだ。
自分だけの新車体験が完了した後、ユーザーはメタバース空間の広場に設置されている発表エリアに戻り、新車の価格とその関連情報を見ることができる。一汽VWは、そのユーザーが体験した新車のストーリーに基づき、それぞれのユーザー独自の価格を提示する。
発表会が終了した後も、ユーザーは、ミニプログラム内で異なる選択肢を選ぶことで、異なる内容の新車体験を何度でも楽しめる。また、その新車の展示エリアでは、全方位から近距離で新車を鑑賞することができるほか、QRコードをスキャンすることで、企業ウィーチャット(WeCom)などを通じて、その新車情報の継続的なフォローもできる。
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