中国EC最大手のアリババ集団傘下の生鮮食品スーパー「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ、以下フーマー)」は2022年10月28日、遼寧省大連市庄河市と連携し、共同でデジタル農業示範都市「盒馬市」を構築することを発表した。既に運営を開始している同じ庄河市の海上盒馬村では、海水浄化システムをアップグレードし、牡蠣(カキ)やその他貝類製品の新しい養殖標準規格を確立している。

大連市庄河市の海上盒馬村にある牡蠣(かき)養殖池の様子(画像はアリババのニュースリリースから)
大連市庄河市の海上盒馬村にある牡蠣(カキ)養殖池の様子(画像はアリババのニュースリリースから)

 フーマーは、「中国の貝類産業の都」とも呼ばれる庄河市を舞台に、2022年から海産物を取り扱った新たな取り組みを始めている。同社は22年6月19日、中国初の海上盒馬村を同市に設立。同市で生産される海産物は、中国全国27都市の300カ所以上のフーマー店舗にて、販売されている。その一日の販売量は、牡蠣で2万キログラムとなり、これは約15万個に相当する。

 このフーマーの取り組みを代表とする契約型水産業は、海産物の長期的な安定供給を実現している。海上盒馬村は、生産地やサプライチェーン、販売拠点を全面的に改善して海産物の高品質化を目指す方向に戦略を転換し始めた。例えば、多層のフィルタリングによる海水浄化を実施し、仮設養殖池内でも貝類が砂の除去処理を行えるようにしている。目標は、国際的な品質標準に適合する生食可能な牡蠣の生産だ。

フーマーの海産物高品質化戦略の取り組みとは

 海上盒馬村の責任者兼大連玉洋集団の代表取締役である於志洋(ユー・ジーヤン)氏は、「深海における養殖は、依然として不確実性が存在する。後半の生産工程で貝類をより清浄な海水の中に移動させることで、初めて高品質化を実現できる」と話す。

 於氏によれば、海上盒馬村の研究基地には、4層の階段式海水浄化システムを建設済み。それぞれの層には、より細かい砂粒をろ過できるフィルターを配備。加えて、海水浄化殺菌システムを導入し、紫外線とオゾン気体を通じて、海水を殺菌している。

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
1
この記事をいいね!する