中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は2022年9月2日、中国上海市で開催された世界人工知能大会(WAIC)の会場にて、上海道客網絡科技公司(DaoCloud)と共同で、メタバース領域を対象とした「クラウドエッジコラボ超融合一体機(以下、一体機とする)」を発表した。これにより、クラウドネーティブの境界線をエッジ端末にまで拡張し、リアルタイム性を確保したバーチャルおよびデジタル世界を実現できるようになる。
ファーウェイとDaoCloudが発表した一体機は、エッジ側で提供する高度に集積されたハードウエア設備や、軽量化されたクラウドネーティブインフラとなるソフトウエア、オープンにマイクロサービス(アプリケーション上の細分化されたサービスのこと)化した多数のアプリケーションで構築されたエコシステム、そしてエッジ側でのメンテナンスが不要な集中管理機能を持つ。これらの機能により、データ処理などを実行するセンター部分でのデータフローの渋滞や、スマート端末の急速な増加がもたらすコンピューティングリソースの不足といった問題を解決することができる。なお、ファーウェイのクラウドネーティブの詳細については、以下の関連記事を参照してほしい。
▼関連記事 ファーウェイ 新たなライブコマースをEC企業と共同で展開ファーウェイのデータストレージ製品ライン副総裁兼分散式データストレージ領域総裁の王怡東(ワン・イードン)氏は、同発表イベントにて、「一体機は、まさにオープンエコシステムを生かしたプラットフォーム型の製品となっている。この製品は、ファーウェイの超融合インフラである『FusionCube 500』と、DaoCloudのクラウドネーティブプラットフォーム『DaoCloud Enterprise』を結合した。こうして、データが生成される端末設備により近いエッジ側で、時間や手間のかからないデジタル基盤を直接構築することが可能だ。また、センター部分に集中する、コンピューティングとネットワークにおける圧力を有効に分散させることで、全体の遅延や帯域幅を最適化することができる」と話している。
クラウドエッジコラボ超融合一体機の4つの特徴とは
今回発表された一体機には着目したい4つの特徴がある。1つ目は、一体機と名にある通り、両社のコンピューティング製品を高度にインテグレーションしていることだ。このため一体機は、多くの業界のさまざまな業務について、そのソフトウエアとハードウエアのリソースをフル活用して、利用者のニーズに応えることができる。また、エッジ側でデータセンターを構築するのに必要とされるストレージ、コンピューティング、ネットワーク、AI(人工知能)、セキュリティー、スタック、アプリケーションなどの要素を統合しており、エッジ側のコンピューティングステーションを納品してから設置までにかかる時間を、わずか2時間に短縮している。
2つ目は、ニーズに合わせた柔軟なカスタマイズ性だ。一体機を構成する「DaoCloud Enterprise」と「FusionCube 500」のそれぞれが役割分担してこの特徴を発揮している。
まずDaoCloudのクラウドネーティブプラットフォームでは、分散式のアーキテクチャーを採用している。このため、機能別にモジュール化したソフトウエア、例えばさまざまなミドルウエアやマイクロサービス、複数のクラウドをまたいで管理できる機能などを、必要に応じて柔軟に追加することができる。これにより、エッジ側で実現したクラウドネーティブをシームレスに拡張することができる。
次に、ファーウェイの「FusionCube 500」は多様なハードウエアに対応することが可能だ。これにより、コンピューティングやストレージ、ネットワークなどについて、利用者が望むニーズに応えつつ、基礎的なリソースを用意できる。加えて多種類の画像処理半導体(GPU)も実装でき、AIの実装シーンにおけるコンピューティングの需要も満たすことができる。
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