中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)のロボット研究専門組織「Tencent Robotics X」は2022年8月8日、自社開発の4足歩行ロボット「Max」の最新状況について発表した。Maxは、21年3月2日に披露されて以来、視力、知能、そして体力の3つにおいて、格段の進化を遂げている。中国武術の1つで、地面に梅の花の形を形成するように立てられた杭(くい)の上で足踏みの稽古をする「梅花椿」で、その進化を披露している。
テンセントが自社開発する4足歩行ロボット「Max」は、通常の4足歩行のみならず、平らな道に適した車輪走行にも切り替えが可能だ。反応速度の速い神経系統の採用でシステムの遅延を大幅に短縮し、「難易度の高い動きと安定性」「速度と安定性」という両立するには難易度の高い機能をすべて実現した。
特徴的なのが、一般的な2輪走行仕様の類似製品と比べて、より多くの関節を持つことだ。この独自の設計と構造により、走行時の消耗エネルギー削減のほか、従来の一般的な4足歩行では実現できなかった、繊細で安定した障害物に対する反応や複雑な動作を可能にしている。
▼参考記事 テンセント 完全自社開発の4足歩行犬型ロボット「Max」を発表注目したい最新版Maxの3つの特徴とは
最新版Maxが備える3つの特徴のうち、1つ目は、正確な視覚識別機能をはじめとした、強力な感知能力だ。Maxは視覚位置特定技術と地形識別技術からなる視覚慣性位置特定アルゴリズムを搭載する。これにより、移動時に周辺の地形を識別し、地図モデルを構築できるほか、地図上に自身をポジショニングして、目的地まで誘導するナビゲーション機能も備えている。その精度の高さは、位置測定の誤差の場合累計1%以内、地形識別の場合2cm以内となっている。
特徴の2つ目は、リアルタイムの3D識別機能と複雑な地形に対応できる平衡感覚による高い適応能力だ。Maxは、前後、左右、そして上下という3次元の移動と、縦回転、横回転、昇降動作という3次元の回旋運動を合わせた合計6次元全方向の運動軌跡に対し、リアルタイムでプランニングするアルゴリズムを搭載。これにより、リアルタイムで3Dの地形を識別できるだけでなく、自身の位置と姿勢から、計6次元の運動軌跡の中で最適な動きを選択して動作することができる。例えば、自動で起伏姿勢を調整したり、横方向動作や方向転換ができたり、高低が激しい不規則な地形でも適応することが可能だ。
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