中国EC最大手のアリババ集団傘下のクラウドサービス部門「阿里雲(アリクラウド)」は、カーボンニュートラル管理ツール「能耗宝(Energy Expert)」を、2022年6月末までに中国国内で2000以上の企業へ導入した。22年2月23日の発表から約4カ月でこれだけの実績を上げた格好だ。アリクラウドは、企業のカーボンニュートラル実現に向け、エネルギー消費管理と二酸化炭素排出量管理の2つの面から支援する。

アリババ集団傘下のクラウドサービス部門「阿里雲(アリクラウド)」が提供するカーボンニュートラル管理ツール「能耗宝(Energy Expert)」のイメージ図(画像はアリババのニュースリリースより)
アリババ集団傘下のクラウドサービス部門「阿里雲(アリクラウド)」が提供するカーボンニュートラル管理ツール「能耗宝(Energy Expert)」のイメージ図(画像はアリババのニュースリリースより)

 中国国内では、カーボンニュートラル実現に向けた政策である「双炭(ダブルカーボン:2030年までにカーボンピークアウト、60年までにカーボンニュートラル実現)」が打ち出されている。アリババ集団は、その政策を実践するうえで、企業や工場、そして社区(中国独自の地域コミュニティー)が抱える主なニーズを2つに分けて捉えている。1つは、企業のオペレーション上の喫緊のニーズであるエネルギー消費管理、もう1つは、今後の企業発展の重要な要素としての二酸化炭素排出量の管理だ。

「能耗宝」のソリューション構成イメージ図(画像はアリババのニュースリリースより、匠新が翻訳)
「能耗宝」のソリューション構成イメージ図(画像はアリババのニュースリリースより、匠新が翻訳)

双炭(ダブルカーボン)実現に向けたアリババのアプローチとは

 まず、エネルギー消費管理のシーンでは、アリクラウドは、ユーザー企業が自身の状況と照らし合わせて、高コストパフォーマンスのソリューションを選択する支援をしている。一方で、企業のエネルギー使用状況をデジタル化して把握し、精密化したオペレーションを実施することで低効率かつ余分なエネルギー消費部分を見つけ、エネルギー消費量の改善のための立案を行っている。ここでは、エネルギーの節約という目的の実現に注力している。

 さらに、風力エネルギーや太陽光エネルギー、そしてそれらを蓄積しておくストレージ技術を通じて、企業が合理的かつ効率的に自給自足するクリーンエネルギーの活用もサポートする。もし企業や社区内の建物の屋上に、一定以上の面積がある場合は、アリクラウドの支援のもと、太陽光パネル関連の発電システムを設置し、自家発電による電力で従業員の使用電力とオフィスの使用電力をカバーすることも可能だ。これにより、一般的に企業の使用電力コストを約10%削減できる。

能耗宝の上で管理可能な使用エネルギー関連のコア指標を閲覧できるダッシュボードの様子(画像はアリババのニュースリリース
能耗宝の上で管理可能な使用エネルギー関連のコア指標を閲覧できるダッシュボードの様子(画像はアリババのニュースリリースより)

 次に、二酸化炭素排出量管理のシーンでは、アリクラウドは中国各地の「炭普恵」(中小企業や家庭、そして個人のためのカーボンニュートラル実現を目的としたグリーン金融プラットフォーム)と連携している。これにより、自身の二酸化炭素削減量に応じてデジタルクーポン「炭币(カーボンコイン)」を獲得することができ、消費者や企業が二酸化炭素削減を積極的に行う経済的インセンティブを醸成することができる。

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