中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は2022年6月中旬、自社の研究開発業務を全面的にクラウドへ移行したと発表した。直近3年間で、テンセントの研究開発業務のクラウド規模は、5000万コア数以上に到達しており、累計節約コストは30億元(約600億円)を超えている。今後、同社が運営するインスタントメッセンジャー「QQ」やSNSアプリ「微信(ウィーチャット)」などを、パブリッククラウド形式で開発・運営していく。
テンセントは、2018年に戦略を見直した際、技術委員会を設置し、「オープンリソースコラボレーション」と「自主研究開発業務のクラウド移行」を2大技術戦略として明確化していた。そのうち、今回の自主研究開発業務のクラウド移行は、SNS(交流サイト)やゲーム、そしてコンテンツなどを含むテンセント内部の大量の自主研究開発業務をクラウド側に移行することを目標としている。大部分の業務は、素早い成長を維持しながら、同時並行でクラウド移行している。例えば、同社が提供するインスタントメッセンジャー「QQ」は、初めて全面的にクラウドへの移行を果たした内部業務で、その膨大かつ複雑な業務のクラウドへの移行はユーザーに全く支障がない形で成功しているという。
クラウド移行は海外進出への後押しとなる
また、テンセントのクラウドサービス「騰訊雲(テンセントクラウド)」が世界中に配置しているインフラは、テンセントのゲーム事業「騰訊遊戯(テンセントゲームズ)」の海外進出チームによる、海外市場の開拓を支えている。そのインフラと豊富なクラウド製品の能力、そしてその2つが連携して最適化されたグローバルネットワークは、テンセントの多種にわたるゲームが海外市場で大きな収益を上げ、かつ世界のユーザーに最先端のゲーム体験をもたらすことをサポートしている。テンセントクラウドは現在、世界5大陸の27地区でサービスを提供し、71カ所のサービス利用可能エリアを運営しているほか、中国の国内外で2800のCDN(コンテンツ配信ネットワーク)を備えている。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー