中国発の動画投稿アプリ「TikTok」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)は2022年4月9日、一般向けVR(仮想現実)コンサートを開催した。バイトダンス傘下の企業向け技術サービスプラットフォーム「火山引擎(Volcano Engine、フォーシャンインチン)」と、同じく傘下企業であるVRヘッドセットメーカー北京小鳥看看科技(ピコ・テクノロジー)が連携して実現している。高精細の8KによるVRのライブ中継コンサートは業界初となる。

北京小鳥看看科技(ピコ・テクノロジー)のVR(仮想現実)ヘッドセットのユーザー向けコンテンツメニューで、VRコンサートが宣伝される様子(画像はピコ・テクノロジーのニュースリリースより)
北京小鳥看看科技(ピコ・テクノロジー)のVR(仮想現実)ヘッドセットのユーザー向けコンテンツメニューで、VRコンサートが宣伝される様子(画像はピコ・テクノロジーのニュースリリースより)
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 今回のVRコンサートは、これまでのオンラインライブ中継によるコンサートと異なり、ピコ・テクノロジーの最新のVRヘッドセット「Pico Neo3」を装着して鑑賞するもので、ユーザーに全く新しい鑑賞方式と視覚体験をもたらしている。画質は高精細の8Kで、180度展開できる立体的な視野を実現し、最前列の1等席のような近距離感といった新体験を提供している。これにより、現実世界のコンサートを鑑賞しているかのような没入感を得ることができる。

8KのVRコンサートを自宅で視聴可能に

 8Kの高解像度でのVRコンサートを実現している点に着目したい。8KのVRコンサートを実現するには、まず8Kのカメラ映像をVR映像へ加工することが必要で、それには膨大なデータ通信という負荷が存在する。例えば、8Kの全景を移した動画データは、ハイビジョン映像画質の「1080p」と比較し、送信データ量が16倍にもなり、家庭用Wi-Fiの限界を大きく超えてしまい、そもそも視聴できない。

 そこで、バイトダンスのフォーシャンインチンは、自社のクラウド技術と複数のアルゴリズムを応用することで、データ転送レートを20Mbps以下に圧縮することに成功している。これにより、家庭用のWi-Fiの限界という課題を解決し、ユーザーが最初から最後まで8KのVRコンサートをスムーズに楽しめるようになった。

 フォーシャンインチンは他にも技術的なイノベーションを生み出している。8Kカメラ映像のクラウドへの接続やクラウド上の中継ツールの提供、また8Kの中継映像の切り替え、そして動画の空間情報識別や空間特殊効果の合成などを実現しており、これらの技術がVRコンサートの実現を支えている。

2022年4月9日に開催されたVRコンサートのリハーサルの様子(画像はピコ・テクノロジーのニュースリリースより)
2022年4月9日に開催されたVRコンサートのリハーサルの様子(画像はピコ・テクノロジーのニュースリリースより)
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