中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は現在、中国福建省にて国有通信最大手の中国移動(チャイナモバイル)傘下の福建移動と連携し、高速通信規格「5G」の海洋広域ネットワークソリューションの実装に取り組んでいる。この実装により、今まで陸地での普及に尽力してきた5Gネットワークの実用化を海上でも進め、「5G養殖」などの新たな5Gビジネスの創出、海洋エコシステムや産業の成熟化を推進していく。

海上を航行する船舶の様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)
海上を航行する船舶の様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)
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 海洋上の広域区域に対応した通信手段として、従来は、陸上と航行中の船舶との間および船舶同士の通信に海事衛星を利用する衛星通信サービスや、陸上から沿岸水域に電波を送り届けて構築する4Gネットワークが活用されてきた。

 しかし、海事衛星に完全に依存した場合、通信帯域幅が制限される影響を受け、陸上の通信ネットワークと比べて通信の容量と質が十分ではなく、かつ費用が高くなってしまう。また、4Gネットワークを活用した場合、ネットワーク容量の上限の面で制約が大きく、沿岸水域における通信にも悪影響を及ぼす。通信業界では、5Gの海洋広域ネットワークが海洋上の通信にもたらす価値は既に知られており、ドローンによる点検や漁業や養殖の監視・管理などの領域において、モデルケースの実装が行われている。

 ファーウェイと福建移動は、海洋上をカバーする5Gネットワークを建設する際、「消費者」「企業」「政府機関」それぞれのニーズを満たす形を取る。

 消費者には、沿岸水域での5G通信サービスを提供する。例えば多くの養殖漁業従事者は、生活の場が沿岸水域の養殖場付近に位置する。従って、携帯電話やインターネットの利用、大容量データが流れるライブストリーミングの利用などに対応するため、また養殖場の資産や養殖状況の監視・管理などのためにも、安全な高速ネットワークが必要となる。

 企業向けには、福建省の洋上風力発電機器を遠隔で運用・維持する作業に求められる通信サービスを提供していく。そして、政府機関向けには、海上の違法船舶の取り締まり強化をサポートする。5Gを応用した位置測定や映像伝送などのサービスを提供して担当する政府機関をサポートしていく。

5Gネットワークを3つの海域に展開

 ファーウェイと福建移動による5Gネットワークの展開は、3つの水域で行われる。1つ目の水域は沿岸水域(海岸から10キロメートル前後の区域)であり、この水域上の通信の質を向上する。まず沿岸水域の消費者向けおよび個人向けの需要を満たし、海洋と陸地で同一の速度と質を確保しなければならない。福建省寧徳市の漁排(中国南方に多い中国式の養殖場のこと)では、5Gによる動画送信の試みが実装されており、高低周波の融合ネットワークの容量が比較的大きいという優位性を生かし、漁排の高画質監視カメラによるリアルタイムの映像通信を実現している。これにより、漁業従事者の餌やりや窃盗防止などのニーズを満たすことができる。

福建省寧徳市にある養殖場と、そこに設置された5G監視カメラの様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)
福建省寧徳市にある養殖場と、そこに設置された5G監視カメラの様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)
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