中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は2022年2月24日、「テンセント・カーボンニュートラル目標&ロードマップリポート」を発表した。テンセントが掲げるカーボンニュートラル目標では、2030年までに実現を目指す2大項目が掲げられている。それは、「自社の運営およびサプライチェーンにおける全面的なカーボンニュートラルの実現」と「100%グリーン電力稼働の実現」だ。そのための取り組みを紹介する。
テンセントによるカーボンニュートラルを目指した計画は、2021年1月12日から実行に移されており、同社は中国国内で最も早い段階でカーボンニュートラルの実現に取り組み始めた企業の1社となっている。テンセントの取締役会会長兼CEO(最高経営責任者)である馬化騰(ポニー・マー)氏は、「デジタルテック企業として、テンセントがカーボンニュートラルを実現することの意義は、自社の炭素排出量削減だけではない。より重要なのは、まずカーボンニュートラルを1つの契機として、科学技術の研究開発とその実用化におけるイノベーションを促進させること。そして、消費側のインターネットと産業側のインターネットを融合させたイノベーションをもたらすことだ。それによって、低炭素な生活方式を継続的に普及させ、伝統型産業の転換による産業の高度化を促進する。最終的には、世界の気候変化に対して、中国の知恵を活用した貢献を果たすことである」と話している。
テンセントの温暖化ガス排出状況の実態
テンセントが自社による温暖化ガス排出量を算定した結果によると、21年は511万1000トンであった。テンセントは温暖化ガスの排出領域を3つのスコープに分けている。
まず、企業が所有する、あるいは物理的に制御できる範囲内で発生する直接温暖化ガス排出量を「スコープ1」(二酸化炭素排出量は、1万9000トンで全体の約0.4%)とする。主に自社で所有する車両の運行や軽油発電、そして冷房・冷蔵機器から漏れる冷却剤が含まれる。
次に、企業が購入する電気やその他のエネルギーにより発生する間接温暖化ガス排出量を「スコープ2」(二酸化炭素排出量は、234万9000トンで全体の約45.9%)とする。主に自社建設および共同建設のデータセンターやオフィスビルの使用電力が含まれる。
最後に、テンセントのサプライチェーンの中で発生するあらゆる間接温暖化ガス排出量を「スコープ3」(二酸化炭素排出量は、274万3000トンで全体の約53.7%)とする。主に資本財(インフラ消費財、データセンター設備など)やレンタル資産(レンタルのデータセンターの使用電力)、そして従業員の出張などを含む。
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