中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は2022年2月23日、自社の工業インターネットプラットフォーム「Fusion Plant」が、中国政府の中国工業情報化部(工信部)の「2021年業界・領域をまたぐ工業インターネットプラットフォーム」に選出されたと発表した。3年連続の選出となる。Fusion Plantは、工業関連企業のビジネスをサポートするだけでなく、産業全体を見据えた発展を志向している。
ファーウェイの工業インターネットプラットフォーム「Fusion Plant」は、大きく3つの機能から構築されている。1つ目は、工業設備をIoT技術でインターネットに接続する工業IoTプラットフォーム。2つ目は、AI(人工知能)で自律的に意思決定・行動のできる工業システムである工業エージェント(エージェントとは、知能を持つ主体を指す)。そして最後に、アプリケーション開発に求められる環境を確保できるクラウドサービスである工業aPaaS(application Platform as a Service、工業応用プラットフォーム)がある。このプラットフォームをもっと簡単にいえば、企業の生産力向上につながるスマート意思決定システムと捉えられる。
Fusion Plantの3つの進展
ファーウェイはFusion Plantに関する3つの進展を発表した。1つ目は、プラットフォーム構築の進展だ。ファーウェイは、過去4年間注力してきた蓄積により、Fusion Plantに2400以上の工業アプリケーションソフトウエアをそろえている。また、Fusion Plantを利用する工業領域の企業数は2万3000社に上り、鉄鋼や燃料、採掘、建築材料、家電、そして自動車など多数の領域をカバーしたサービスを提供している。さまざまな工業領域で異なるモデルが必要となるが、これまで構築したモデル数は累計900以上で、多くのニーズに対応できる。
2つ目は、工業インターネット産業の進展を生み出したことである。ファーウェイは、既に140以上の工業インターネット産業クラウドイノベーションセンターを設立し、設備製造や電子情報、金属加工、そして自動車部品など50以上の産業領域をサポートしている。これにより、産業全体の利益が増加し、複数の産業をまたいで多くの企業が連係して製造する「協働型製造」を強化する工業インターネットプラットフォームが構築される。同プラットフォームは既に、長江デルタや四川省周辺、湖北省周辺を指す華中経済圏などを主とした発展都市地域と、工業領域に強みを持つ郊外地域を、広くカバーしている。
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