中国EC最大手のアリババ集団は2021年12月17日、「アリババ・カーボンニュートラル行動リポート」を発表した。内容は、2030年までに実現を目指す3大目標で、「2030年までに自社内におけるカーボンニュートラルの実現」「2030年までに自社の川上から川下までのバリューチェーンにおける二酸化炭素排出量の半減」そして「グリーンなクラウドで、自社エコシステム全体の二酸化炭素排出量の15億トン削減」の3つだ。
国際的には、二酸化炭素削減を実現する標準ターゲットとして3つのスコープが定められているが、アリババ集団はそれに上乗せする形で独自の概念「スコープ3+」を提唱している。アリババ集団の会長兼CEO(最高経営責任者)である張勇(ダニエル・チャン)氏は、今回発表した方針がアリババ集団に対してのみならず、社会に対する真剣な約束であると示し、「たとえ多くの困難が待ち構えていようとも、持続的な未来は新技術と新エネルギーが駆動する循環経済となるであろうと信じている。そして、その実現はテック企業であるアリババ集団の責務でもある」と話している。
アリババ集団が提唱する「スコープ3+」とは?
第三者機関による二酸化炭素排出量算定結果によると、2020年のアリババ集団の温暖化ガス排出量は、951万トンであった。アリババ集団は3つのスコープを以下のように分ける。企業が物理的に制御できる範囲内の直接温暖化ガス排出量を「スコープ1」とし、次に会社運営で使われる電気により排出される温暖化ガス排出量を「スコープ2」、アリババ集団の川上から川下までのバリューチェーンの中で間接的に排出されている温暖化ガスを「スコープ3」としている。それぞれの排出量は、51.0万トンと371.0万トン、529.4万トンとなっている。そして、その次が「スコープ3+」で、対象となる排出とは、アリババのデジタルエコシステム参加者が排出する温暖化ガスだ。
アリババの取り組みをスコープごとに分けて整理する。スコープ1と2では、まず社員の出張や移動に対する社内制度の調整だ。出張の削減、会社が用意するバス利用や、タクシー移動の相乗りなど、これまでにはない新しい制度で従業員に二酸化炭素排出の削減を促している。タクシー移動の相乗りでは、これまで約10カ月で約9万人の社員が実行するといった実績も出ている。
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