中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は2021年10月1日、コロナ禍により1年間の延期を経て開幕された「2020年ドバイ国際博覧会」にて、医療AI(人工知能)領域の新技術を駆使した「スマート医療」の成果を発表した。成果には、「新型コロナウイルス感染AI補助診断ソリューション」「ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)によるリハビリ支援技術」「眼底疾患AIスクリーニングシステム」、そして「AIスマート診察システム」の4つがある。

2020年ドバイ国際博覧会でのテンセントの展示ブースの様子(画像はテンセントのニュースリリースより)
「2020年ドバイ国際博覧会」でのテンセントの展示ブースの様子(画像はテンセントのニュースリリースより)

AIで新型コロナウイルス感染者の肺炎を診断

 テンセントが発表した成果の1つ目は、新型コロナウイルス感染AI補助診断ソリューションだ。新型コロナウイルス感染者が肺炎になっているかどうか、その状態を診断できるもので、テンセントは武漢大学中南病院と連携して開発した。このソリューションは、武漢の主要医療機関である武漢雷神山医院や方艙医院(臨時医療施設)などでCT検査画像から患者の症状を読み取る画像診断を支援し、2カ月間で2万4000人以上の患者について検査を実施するなどの成果を出した。

 同ソリューションは、患者のCT検査完了後、数秒でAIによる識別を完了し、さらに1分以内で医師に補助診断参考情報を提供する。従来は1度の胸部CT検査につき、300枚前後の画像に目を通し、症状を判断する必要があったが、このような作業負担を大きく軽減できる。診断作業にかかる負荷を軽減できるだけなく、診断時の患者の回転率も向上し、最終的に患者の病院内滞在時間を減らし、施設内の交差感染のリスクも低下させた。

テンセントのAI補助診断ソリューションが肺の画像を読影して診断する様子(画像はテンセントのニュースリリースより)
テンセントのAI補助診断ソリューションが肺の画像を読影して診断する様子(画像はテンセントのニュースリリースより)

BCIの技術的困難を克服

 2つ目はブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)である。BCIは脳とコンピューターもしくはその他の電子設備の間に置かれる、直接通信を可能にするチャネルのこと。言葉と体の動きを介さずに、脳を通じて直接、アイデアの表現や機器の操作を行える。テンセントは脳卒中患者や運動能力を失った人のリハビリ治療への応用を模索。脳波を採集し、AIアルゴリズムによる解読と翻訳を行うことで、人の運動意図を識別することを目指す。

 しかし現時点では、BCIは大脳の電気信号の不安定性や、取得データ属性の差異性、そしてデータサンプルの不足などの問題が存在している。そこで、テンセントの医療AIを研究する「天衍実験室」は、運動を想像する際に発する脳波信号の分類方法を提起した。これにより、BCIの技術的な処理能力を向上させ、上記の問題を克服することが期待されている。

BCI技術を利用したリハビリ治療の様子(画像はテンセントのニュースリリースより)
BCI技術を利用したリハビリ治療の様子(画像はテンセントのニュースリリースより)

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