中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は2021年9月下旬、アプリ内で開くことが可能なミニプログラム「百度AI数簽神器(直訳で、バイドゥAI串数計算神器)」をリリースした。このミニプログラムは、バイドゥの検索アプリ「百度」上で開くことが可能で、串を扱う飲食店はAIを使って串数の集計が簡単にできる。バイドゥは人々の暮らし中で、AIをより身近な存在にしている。

バイドゥのミニプログラム「AI数簽神器」を利用し、串数を集計する様子(画像はバイドゥのニュースリリースより)
バイドゥのミニプログラム「AI数簽神器」を利用し、串数を集計する様子(画像はバイドゥのニュースリリースより)
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串料理屋の不効率をAIで解決

 串料理を食べるのは簡単だが、串の本数を計算するのは非常に骨の折れる作業である。中国でよくある風景に、串料理を食べ終わると、会計の前に従業員が串数を数えるという作業があり、繰り返される会計のたびに対応しなければならない。こうした問題を解決するために、「AI数簽神器」が開発された。このミニプログラムはスマートフォン上のアプリ内で開くことができ、スマートフォンのカメラ機能を通じて、串の束(上記の写真)を撮影するだけで、約1秒後に串数の集計が完了する。こうして煩わしい作業を大幅に減少させることができる。

串数を識別するため、串の束を撮影する様子(画像はバイドゥのニュースリリースより)
串数を識別するため、串の束を撮影する様子(画像はバイドゥのニュースリリースより)
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 今回取り上げている「百度AI数簽神器」は、バイドゥが開発したミニプログラムであるが、同じようなものを他の開発者も簡単に作ることができる。開発者は、バイドゥのディープラーニングのオープンソース開発プラットフォームである「百度飛槳(PaddlePaddle、PP)」上で、アルゴリズム開発の基礎がなくても、AI開発プラットフォーム「EasyDL」で必要なAIモデルを手軽に作成できる。以下では、「百度AI数簽神器」の設定プロセスを例に、どのようにしてAIモデルを作成できるのか紹介する。

アルゴリズム開発の基礎がなくても、AIモデルの開発が可能なAI開発プラットフォーム「EasyDL」のサイト
アルゴリズム開発の基礎がなくても、AIモデルの開発が可能なAI開発プラットフォーム「EasyDL」のサイト
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AIモデルを作成する4つのステップ

 第1ステップは、モデルの選択だ。串数の集計を目標とする場合、串の位置を特定し、その串が出現する回数を把握する必要があり、それを実行できるAIモデルが必要だ。そうした条件に基づき、開発者は「EasyDL」上でモデルを選択する。EasyDL上では複数のAIモデルが用意されており、今回の「百度AI数簽神器」では「物体識別」を選択して作成される。

EasyDL上でAIモデルを選択可能。物体識別だけでなく、画像識別や文字識別、音声識別、ビデオ識別など多数のAIモデルが用意されている。(画像はバイドゥのニュースリリースより)
EasyDL上でAIモデルを選択可能。物体識別だけでなく、画像識別や文字識別、音声識別、ビデオ識別など多数のAIモデルが用意されている。(画像はバイドゥのニュースリリースより)
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