中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のクラウド部門「華為雲(ファーウェイクラウド)」は現在、自社のAI(人工知能)技術を活用し、より正確な災害級気象予報モデルの研究開発に力を注いでいる。モデルは、大量の過去データの分析を通じて構築され、雲の変化と移動ルートなどを推計できる。この技術によって、2021年7月下旬に中国東沿岸部を襲った台風6号「煙花(インファ)」に対し、政府と一般市民が迅速に対応できた。

台風6号「煙花(インファ)」が中国大陸東沿岸部に上陸している様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)
台風6号「煙花(インファ)」が中国大陸東沿岸部に上陸している様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)

 台風6号インファへの中国の対応は、とても迅速なものだった。台風の移動ルートも予測され、危険区域とされた一部の区域では、老朽化した住宅地や工事現場、広告設備などに対し、大規模な調査と、必要な場合は避難勧告が行われた。中国浙江省の、2021年7月24日中国時間正午(日本時間午後1時)時点の統計データでは、約1万780カ所の避難所を開放し、約10万人の避難を実現した。

 このように中国が自然災害への対応力を強化している裏側には、ファーウェイの高い技術がある。ファーウェイの取り組みを紹介する。

「気象+クラウド+AI+5G」の融合を実現

 ファーウェイクラウドは20年1月6日、深セン市気象局と連携協定を締結している。そこでは、大都市の気象予報をより正確なものにし、スマートシティにおける気象サービスの突破口となるようなイノベーションを生み出すため、両者より「気象+クラウド+5G」の全領域における情報を持ち寄り、連携モデルを打ち出すことを発表した。

2020年1月6日のファーウェイクラウドと深セン市気象局の連携協定締結式の様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)
2020年1月6日にファーウェイクラウドと深セン市気象局が連携協定を締結した締結式の様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)
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