中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は、2021年7月7日~10日の間に中国上海市で開催された世界人工知能大会(WAIC)にて、AI(人工知能)を活用した天体の自動識別および自動分類技術を展示ブースにて披露した。これは、ファーウェイと政府直属の最高レベルの研究機関である中国科学院の上海天文台との共同研究開発の成果である。人類史上最大の集光面積を持つ次世代望遠鏡であるスクエア・キロメートル・アレイ(SKA)への応用が期待される。

天体探索ツール「河図(ホートゥー)」の天体自動識別分析の様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)
天体探索ツール「河図(ホートゥー)」の天体自動識別分析の様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)

SKA計画における中国の研究開発戦略

 SKA計画は、世界最大の電波望遠鏡を建設する国際共同プロジェクトだ。同計画は、1991年から構想が練り始められ、2018年から第1期の建設が行われている。そこで実装される望遠鏡は、宇宙の起源や引力波、ダークマター、ダークエネルギー、銀河の進化、そして磁場の起源、さらには地球外惑星文明の探索に使われる。SKAの観測施設はオーストラリアと南アフリカの2カ所に位置するが、そのデータ処理と科学研究のネットワークは世界中に広がっている。

 中国はSKAの主要参加国の1つであり、SKAの天文台およびSKAエリアセンターの建設に積極的に携わっている。そこに深く関わっている中国企業の1社がファーウェイだ。ファーウェイは18年11月28日、上海天文台とSKAプロジェクト戦略協定を締結している。この協定に基づき、ファーウェイのAIやビッグデータ、クラウドコンピューティング、そして高性能計算といった自社の能力と、上海天文台の電波天文学領域における知見を融合し、共同で中国SKAエリアセンターの建設を推し進めている。

2018年11月28日に行われたファーウェイと上海天文台のSKAプロジェクト戦略協定締結式の様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)
2018年11月28日に行われたファーウェイと上海天文台のSKAプロジェクト戦略協定締結式の様子(画像はファーウェイのニュースリリースより)

「AI×宇宙」の領域における突破口

 最新の研究成果として、上海天文台のSKAチームは、天体探索ツール「河図(ホートゥー)」を発表している。ホートゥーは、深層学習のネットワークモデルを改良し、そのネットワークモデルの性能を大幅に引き上げることで、天体の識別精度の向上と計算コストの低減を実現している。

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