中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)と中国の航空系複合企業である海航集団(HNAグループ)、航空向け電子設備を手がけるDONICA(ドニカ)は2021年6月16日、共同で設立した飛享互聯(フェイシャンフーリエン)の運営開始を正式に発表した。フェイシャンフーリエンは、テンセントのデジタル技術とHNAグループの航空運輸能力、ドニカの航空機向けハードウエア面の経験を結集させ、デジタル客室サービスを提供する。
今回、テンセントとHNAグループ、ドニカの3社が提供するデジタル客室サービスとは、デジタル技術を活用した乗客向けサービスだ。テンセント傘下企業が提供するビデオや音楽、ニュースなどのコンテンツサービスと、テンセントのクラウドサービス「騰訊雲(テンセントクラウド)」を使って大容量データ配信を可能にする「CDN(コンテンツ配信網)」、4Gおよび5G通信などの製品が統合されている。このサービスを実装した航空機は、機内のシステムに蓄積されるコンテンツなどのデータの更新頻度が高まり、乗客の多様な需要を満たせるようになる。例えば、乗客は機内専用のWi-Fiに接続し、自らが選択したテンセントビデオやQQ音楽の視聴、そしてニュースや電子版小説などの閲覧ができる。
3年間で1億2000万人へのサービス提供を目指す
フェイシャンフーリエンの設立に参画した3社は、2018年に既に航空インターネット領域における提携の方針を固め、20年6月16日に正式に戦略連携協定を締結済み。その後1年の間に、テンセントのデジタル客室を実現するプロダクトを、海南航空や雲南祥鵬航空、そしてウルムチ航空など多くの国内航空会社で実装した。また21年中には100~140機の機体を改装し、デジタル客室サービスを実装する工事を完了させる予定。今後3年間で累計1億2000万人の旅客へのサービス提供を目指す。
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