中国EC最大手のアリババ集団の研究機構「達摩院」(ダモアカデミー)は、AI物流ロボット「小蛮驢」(シャオマンリュー)を2021年の春から湖北省武漢の大学3カ所に新しく設置したことを発表した。アリババはキャンパス内でロボットに荷物を配達させることで、冬休み明けで大学に多くの学生が戻るこの時期特有の物流ピークへの対応を試みている。
武漢の大学に訪れる春の物流ピークに対応
武漢は大学生数が中国国内で最も多い都市であり、その数は2020年時点で約139万9000人に上る。全国の教育機関の管理と研究を行っている中国教育後勤協会とアリババ集団傘下の市場調査会社「阿里研究院(アリリサーチ)」が19年度末に発表した統計によれば、19年の中国のすべての大学宛ての荷物量は30億件近くとなり、84カ所の大学が存在する武漢は、市内で扱う大学宛ての荷物量で全国トップとなっている。
例えば、武漢にある華中師範大学では、春学期が始まってから半月にわたって、物流のピークが止まらない状態で、当大学の東地区だけで1日に平均1万件の荷物を受け取っているという。そこで、アリババは2台のシャオマンリューを投入し、大学内に設置されている配達物受取所から各宿舎への荷物配送をサポートしている。
シャオマンリューは1日最大500件の配達が可能
シャオマンリューは、ダモアカデミーが最先端のAI(人工知能)と自動運転技術を集めて開発した。通常サイズの配達物を1回の配達で50個配送でき、1日10回の配送が可能であることから1日の最大運送能力は約500件となる。また最高時速は20キロメートルと通常運転の電動バイク並みの速度で移動が可能だ。
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