中国EC最大手のアリババ集団と中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は2020年11月28日、アリババと中国の浙江大学が共催した「2020デジタルガバナンスフォーラム」で、「非正常検索」の回数データを公開した。同時に、こうした検索に対して、周知・啓発するページを表示する「緑網計画(リューワン計画)」も始めた。両社は、市政府と共に人命と希少野生動植物、未成年を保護する取り組みを進める。
まず、非正常検索について、アリババ集団の鄭俊芳(ジェン・ジュンファン)最高リスク責任者(CRO)は次のように定義を説明した。「ネットユーザーが、性的なものやゲーム依存防止システムの解除、それに野生動植物やドラッグ、自殺といったキーワードが含まれるコンテンツを検索することは、社会にリスクをもたらす不適切な検索行為であり、これを非正常検索と呼ぶ」。
非正常検索は年間数百億回も試みられている
非正常検索の回数について、アリババ集団のプラットフォームでは1年間で72億回、バイドゥの検索エンジンでは2020年第1~3四半期の9カ月で386億7000万回に上った。
こうした非正常検索を巡り、中国浙江省市場監督局の指導の下、アリババとバイドゥが始動させたリューワン計画はこれまでの類似の取り組みとは違う。これまでよく見られたのは、禁止されたキーワードを検索すると「ページは表示できません」と空白のページが表示されるものだったが、リューワン計画では今後、周知・啓発するページが代わりに表示される。
例えば、象牙を検索した場合には「ページは表示できません」と空白のページが表示されるのではなく、野生動物が危機に瀕(ひん)しており、象の保護を呼びかける内容が表示される。同計画には、アリババ傘下のECサイト「淘宝網(タオバオ)」やフリマサイト「閑魚(シエンユー)」、地図データ大手「高徳(オートナビ)」、動画配信サイト「優酷(ユークー)」、モバイルブラウザー「優視(UC)」、検索アプリ「夸克(クォーク)」も参加する。
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