中国EC最大手のアリババ集団のクラウド事業「阿里雲(アリクラウド)」は2020年9月24日、都市のスマート化を実現するシステム「城市大脳(シティーブレーン)」に、水道事業をスマート化するシステム「水務(水道業務)スマートサービスエンジン」を追加した。AI(人工知能)およびAR(拡張現実)、スマートセンサーなどの技術を利用することで、見えない地下にある水道管の状態をリアルタイムで可視化することができる。

感知設備とAI技術で、見えない地下にある水道管のデータをリアルタイムに取得および予測し、ARで可視化できる(画像はアリババのニュースリリースから引用)
感知設備とAI技術で、見えない地下にある水道管のデータをリアルタイムに取得および予測し、ARで可視化できる(画像はアリババのニュースリリースから引用)

 水務スマートサービスエンジンの仕組みはこうだ。まず感知設備を地下の水道管に設置することで、水道管をインターネットに接続し、リアルタイムにデータを取得可能にする。そして、そのデータに基づき、AIアルゴリズムを駆使して、水流速度や水量、詰まり具合などの状態を総合的に分析する。問題が起こりそうな水道管の位置をスピーディーに発見でき、加えて、水道管の水があふれる溢水(いっすい)時間の予測や原因分析もできる。水道管理業者に点検やメンテナンスの必要性について通知し、水道管の老朽化で詰まりが発生し、豪雨時などの大量の雨水により、汚水が地上へ逆流するなどの問題を未然に防ぐことができる。

 また、水務スマートサービスエンジンには機械学習モデルが組み込まれており、オンライン上の大量のデータを通じて学習できる。学習が可能なため、水務スマートサービスエンジンのアルゴリズムは、地下の水道管から得られるデータ量への依存を軽減できる。つまり、通常より比較的少ないデータ量で、より高いパフォーマンスを発揮できるということだ。さらに、アリババは、別に水動力学アルゴリズムモデルをクラウド化してアリクラウドのデータ分析技術と融合させることで、水務スマートサービスエンジンが持つアルゴリズムの精度を引き上げている。

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