2020年8月18日、中国・深センに地下鉄の6号線と10号線が開通した。この2本の地下鉄路線は中国深センで初の、1つの路線全域に5G技術が適用された例となる。技術を提供する企業は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)で、運営する深セン地下鉄は同社の都市鉄道クラウドソリューションを導入している。その導入範囲は6号線(27駅)と10号線(24駅)合わせて51駅で、全長約78.7kmだ。地下鉄利用客は該当区間において5G通信を利用できる。

深セン地下鉄10号線にある華為(ファーウェイ)駅(画像はファーウェイのニュースリリースより)
深セン地下鉄10号線にある華為(ファーウェイ)駅(画像はファーウェイのニュースリリースより)

ファーウェイの都市鉄道クラウドソリューションとは

 ファーウェイの都市鉄道クラウドソリューションは、従来は縦割り構造だった深セン地下鉄の運営管理を一変させた。クラウドコンピューティング技術により、複数の業務を統一プラットフォーム上に構築することで、個々の業務ごとではなく、ICT(情報通信技術)インフラ全体として企画や建設が可能になった。この結果、必要に応じた効率的なリソース配置や利用、共有が可能になる。つまり、今後は地下鉄全体を一元的に管理できるということだ。同時にこのソリューションは、深セン地下鉄をスマート化していく際の基礎となり、今後のさらなる進化を加速させる役割を担っている。

 プラットフォーム上に統一される業務には、総合監視制御システム(ISCS)や列車自動監視制御システム(ATS)、乗客情報システム(PIS)、セキュリティーシステム(監視カメラやゲートなどのサブシステムを含む)、地下鉄列車用車庫のスマート化システム、コンピューターを使用する事務作業の自動化システムなどがある。これによって地下鉄路線の各専門領域での二重投資を回避し、また各業務システムの高度な集積やスピーディーな配置が可能になり、運営がより容易となって、運営とメンテナンスをともに効率化することができる。

 同リューションを使用することで、全システムの安全性が80%向上し、ITリソースの利用率も50%以上に引き上げることができる。さらに、プラットフォームで統一されたリソース提供が可能となることから、1つの駅の業務システムをフォーマットとしてコピーし、クラウド経由でその他の駅にシステムを配置することができる。その効率の高さは、30分以内に20駅でサーバーのセッティングを完了させることができるほどだ。それだけではなく、コンピュータールームをモジュール化することで、1駅のコンピュータールームの面積を50%削減できる。この結果、年間で200万元(約3000万円)の電気代を節約し、コンピューターのキャビネット空間を10%削減し、データセンターのエネルギー効率(PUE、データセンター全体の消費電力÷IT機器による消費電力)を1.5まで引き下げることも可能になる。

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