2020年も中国各地で豪雨が頻発し、都市の排水システムに負担がかかり、冠水問題が多発した。中国・深センでも豪雨発生時に至る所で道路が冠水していたが、中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)の本社ビル周辺は違っていた。豪雨時もビル前の広場には水がたまることなく、雨がやめば地面はすぐ乾く。それはテンセントがテクノロジーを駆使して構築した「スポンジシステム」が効果を発揮していたためだ。

テンセント本社ビル前広場の地面は、スポンジのように水を吸収する浸透性の高い材料でできている(画像はテンセントのニュースリリースより)
テンセント本社ビル前広場の地面は、スポンジのように水を吸収する浸透性の高い材料でできている(画像はテンセントのニュースリリースより)

「スポンジシステム」の仕組みとは

 中国・深センにあるテンセント本社ビル前広場の地面は、スポンジのように水を吸収する浸透性の高い材料「セラミサイト」で作られている。大雨時はスポンジのように水を吸収し、路面に水がたまらないようにする。雨量が少なくなれば、吸い込まれた水は徐々に地下の水道管に排出される。テンセントは雨量計や流量計、水位計などのセンサーを地中に設置し、スポンジシステムが正常に機能しているかどうかチェックし、交換やメンテナンスを通じて、その機能を担保している。

 テンセントはこのような仕組みを本社ビルの38階にある「雨水花園」というガーデンにも取り入れている。そこにも同様にセラミサイトが敷かれ、加えて植物も植えられている。また、ガーデンの下には雨水を収集する装置が設置されており、雨水の貯水と放水を自在に行うことができ、地下に排出される水量を調整できる。貯水された余分な雨水は晴れた日に植物の水やりに利用できるなど、環境に優しい仕組みが出来上がっている。

 この画期的なシステムは、テンセントのクラウド事業「騰訊雲(テンセントクラウド)」が開発するスマートシティーソリューション「CityBase(シティーベース)」に含まれているものだ。このソリューションは、都市の土地や建築物、水域、道路、橋、水道管などのインフラを全面的にデジタルデータとして把握し、加えて気象データや降水量データ、水道管の敷設状況、浸透性を持つ路面の舗装状況、降水時の地面の水流などのデータも収集することで、都市に敷設された、セラミサイトによる「スポンジシステム」について、観測データモデルを構築する。そのデータモデルを用いてテンセントのクラウド上でAI(人工知能)分析を行い、異なる道路の冠水現象を予測・判定することができる。

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