2020年6月8日、北京では2回目の学校再開のピークを迎え、約28万人の高学年の小学生が登校した。そこで、多くの小学校は児童の健康を守るため、中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)が自社開発したAI(人工知能)体温測定システムを導入した。児童たちはマスクを外す必要も立ち止まる必要もなく、歩きながら非接触で体温を測定してもらえる。

校門での体温測定にバイドゥのAI体温測定システムが使用されている様子(バイドゥのリリースより)
校門での体温測定にバイドゥのAI体温測定システムが使用されている様子(バイドゥのリリースより)

 新型コロナウイルス感染症の流行期間中、児童はもちろん、学校を出入りする人はすべて、マスクの着用が必須となっている。そのため、学校で利用する体温測定システムについては、顔部分の識別と体温の測定の速度に対する要求は非常に高い。このため、AIとあらゆるものがネットにつながる「IoT」の領域において、バイドゥがこれまで蓄積してきた能力が役に立った格好だ。複数人数の顔部分を同時に検知して追跡するAIアルゴリズムや、赤外線サーモグラフィー技術を通じて、非接触でかつ相互の干渉のない体温測定を実現し、学校の職員らが新型コロナウイルス感染症対策を取る作業の効率を、大幅に向上させている。

 体温測定の速度を見ると、1列になって1人ずつ同じ方向に通行するという条件下では、1分間で200人以上も測定できる。このようにスピーディーな体温測定を実現することで、人の密集が生じたことによる感染リスクを低減できる。また、体温が規定値を超過した児童が現れた際は、同システムがリアルタイムで通知し、学校職員らによる速やかな2次検査を実現できる。

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