脱炭素社会の実現に向け、「カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)」の取り組みが進んでいる。現状、企業にはどのような課題があるのか。日本政策投資銀行(DBJ)が、様々な業界を代表する企業トップへのヒアリングを実施し、カーボンニュートラルの「現在地」が明らかになった。

(写真/Shutterstock)
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 日本では2020年10月に温暖化ガスの排出量実質ゼロを目指す「2050年カーボンニュートラル宣言」が行われ、21年4月には2030年における温暖化ガスの13年対比46%削減目標が表明された。

 これらを契機にして今、各企業のカーボンニュートラルに向けた取り組みが急速に進んでいる。21年6月に実施した日本政策投資銀行(DBJ)の「2021年度設備投資計画調査」においても、カーボンニュートラル実現に向けた中長期的なビジョン策定を「実施」、または「準備中」とした企業が6割を超えた(1102社が回答)。

 この結果を踏まえ、DBJは各業界を代表する企業31社のトップへのヒアリングを実施した。そこで見えてきたカーボンニュートラル実現に向けた課題を紹介していく。

要素技術でリードも、スケールアップに課題

 DBJの設備投資計画調査では、カーボンニュートラルに向けた課題として「技術的な問題」「開発コストの問題」との回答が大半を占めた。

■ カーボンニュートラルに向けた取り組みを進める上での課題
■ カーボンニュートラルに向けた取り組みを進める上での課題
(出典)日本政策投資銀行「2021年度設備投資計画調査」(2つまでの複数回答、大企業921社が回答)

 具体的な課題について企業のトップに聞いたところ、おおむね「カーボンニュートラルに向けた要素技術は世界に先駆けている」と自負する企業が多くみられた。一方で、スケールアップに課題があるとの声が多かった。以下では、主な要素技術ごとにポイントを整理したい。

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