日本政策投資銀行(DBJ)産業調査部が、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を読み解く人気連載。今回は、カーボンニュートラル(温暖化ガス実質ゼロ)に向け、小売業界が持つべきデジタル活用の視点について、米ウォルマートの事例を軸に解説する。
2020年10月の所信表明演説で、菅義偉首相は「2050年までに温暖化ガスの排出をゼロにする。すなわち2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。これを受け、各業界はカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速している。
中でも食品小売業界への脱炭素対応の要望は今後、日増しに強くなる可能性が高い。サプライチェーン上で関係性の深い農業や畜産分野からの温暖化ガス排出量は多い。さらには、多くの事業者が店舗で直接消費者と相対するという業界の特性上、消費者からの要望を直接受けやすい。それが故に、消費者を巻き込んでカーボンニュートラル達成を目指すことが求められる。
では、食品小売業界はカーボンニュートラル達成に向け、どういった取り組みを行っているのか。現状を大別すると、以下の3通りに整理できる。
小売業界に必要な「3つの脱炭素化」とは?
まず1つ目は、店舗や事務所などで使うエネルギーの脱炭素化だ。店舗や事業所におけるエネルギー消費は、冷暖房や照明、給湯などがメインとなる。より消費電力の少ない機器への切り替え、すなわち省エネ化に加え、今後は調達する電源についてもより環境負荷の少ない再生可能エネルギーへの切り替えが順次行われていくだろう。
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