日本政策投資銀行(DBJ)産業調査部が、アフターコロナ時代のデジタルトランスフォーメーション(DX)を読み解く人気連載。今回は自動車産業が直面する「ソフトウエアの時代」について、その本質的なビジネスモデルの変化を解説する。「スマホ化」する自動車の近未来とは?

米テスラはソフトウエア更新により航続距離を延ばしたり、自動運転機能をアップデートしたりと、「売り切り」ではないモデルを構築している。写真は小型セダンのEV(電気自動車)「モデル3」
米テスラはソフトウエア更新により航続距離を延ばしたり、自動運転機能をアップデートしたりと、「売り切り」ではないモデルを構築している。写真は小型セダンのEV(電気自動車)「モデル3」

 「10年前の自動車には1000万行のプログラムコードが記述されていた。今日では1億行に達し、その規模はスペースシャトルの100倍、商用旅客機の4倍に当たる。そして、将来の自動運転車では5億行に達するだろう」

 これは、CES 2021におけるドイツの大手自動車部品サプライヤー、ボッシュのスポットライトセッション「Move #LikeABosch」で語られたことだ。自動車におけるソフトウエアの重要性は既に広く知られた話だが、改めてその規模感に驚きを覚える。

 車載ソフトウエアについて議論する際、例えば自動運転技術がもたらすクルマの付加価値の変化は引き続き業界の関心事である。近年では、米Waymo(ウェイモ)の自動運転タクシーサービスの開始や、日本におけるレベル3自動運転(アイズフリーが可能となる条件付き運転自動化)の法律制定の動きなど、世界のビジネス・制度面で着実に進捗している。こうしたアプリケーションの進化やそれに伴う社会の変容は、確かに自動車産業のソフトウエア時代を象徴する重要な事例だろう。

 しかし、業界が注目する「ソフトウエア時代」とは、実はこうした個々のアプリケーションの領域にとどまるものではない。ドイツのフォルクスワーゲンがソフト領域の投資を、あるいは米ゼネラル・モーターズがソフトウエア開発人材の獲得を発表したように、その他様々な大手自動車メーカーが対応に向けて準備を進めている。その背景には、ソフトウエア化が包含する本質的なビジネスモデルの変化が存在する。

車両スペックをソフトでアップデート

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