日本政策投資銀行(DBJ)産業調査部が、アフターコロナ時代のデジタルトランスフォーメーション(DX)を読み解く人気連載。今回は、政府の未来構想プロジェクトの1つ、「防災4.0」について解説する。デジタル技術を活用した最新の防災技術とは?

防災分野でもDXが進む(写真/Shutterstock)
防災分野でもDXが進む(写真/Shutterstock)

 読者のスマートフォンには、どのような防災アプリが入っているだろうか。NHKのニュース・防災、ヤフーの防災速報、他にもリアルタイム天気予報、避難所ガイドなど、様々な防災アプリが存在している。台風接近時の進路予測や河川氾濫予測、突発的な豪雨予測のサービスは、著者も頻繁に利用しており、例えば鉄道運行情報なども踏まえて臨機応変に行動を変えることが、今や日常茶飯事になった。

 防災行政の歴史を災害情報活用の観点から振り返れば、古くから行政による防災行政無線によって緊急時の連絡を拡散し、市民の安全を守ってきた。そのインフラは今でも存在するが、かつてと現在を比べると、スマホを通じてリアルタイムで個人宛に災害関連情報が届くようになったこと自体、ある種の社会変革といえる。このような情報活用に着目した日本の防災対策は、社会のDXとともに、さらに進化を遂げようとしている。

 2015年、日本政府は「防災4.0」未来構想プロジェクトを立ち上げた。気候変動に伴い予想される災害の激甚化などに対し、住民・地域での対応、企業での対応、そして情報通信技術(ICT)の活用の3本柱を中核に、防災対策の推進を図っている。防災アプリも、ICTを活用した防災対策として日本政府、内閣府防災によって活用が推奨されている。

 参考までに、防災1.0から3.0を概説すると、「防災1.0」は1959年の伊勢湾台風による災害を機に整備された「災害対策基本法」を、「防災2.0」は95年の兵庫県南部地震による災害を機に生まれたボランティアによる共助防災を、「防災3.0」は2011年の東北地方太平洋沖地震による災害およびこれに伴う福島第一原子力発電所事故による災害を機に複合災害や想定外の事態に備える重要性を意味している。

 すなわち、防災政策の大きな転換期を意味づけるものとして「X.0」の表現を用いている。これを踏まえれば、防災4.0は今まさに起こらんとしている社会全体のDXに、日本の防災対策がどうあるべきかを視野に入れた議論であることが分かる。先に紹介した中核テーマの中で、ICTが意図的に組み込まれていることがその証左だ。

進化する災害シミュレーション技術

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