日本政策投資銀行(DBJ)産業調査部が、アフターコロナ時代のデジタルトランスフォーメーション(DX)を読み解く人気連載。今回は、深刻な人手不足問題などを抱える物流業界で進むロボット活用、自動化の実態について解説する。

物流倉庫で稼働する自動ロボットのイメージ(写真/Shutterstock)
物流倉庫で稼働する自動ロボットのイメージ(写真/Shutterstock)

 私たちは、日常的に様々なモノを容易に手に入れられるようになった。その裏側には、多くの物流事業者の連携がある。今やモノの流れは地球規模であり、複雑に組み上げられたグローバルサプライチェーンが支えている。今回の新型コロナウイルス感染症の流行は、まさにこのサプライチェーンに深く、大きな傷をもたらしつつある。

 分かりやすいところでは、マスクや、アルコールなどの除菌剤、そしてトイレットペーパーなどが一時あらゆる消費チャネルから消滅し、困った人も多くいただろう。さらには医療現場においても必要な物資が届きにくい状況があったと聞く。トラック、倉庫、港、船や飛行機など、物流ネットワークを構成する様々な箇所で影響が出ており、例えば港では多くのコンテナが滞留した。陸と海の結節点である港では、乱れた陸上輸送と海上輸送の影響を一手に受け、かつ港湾オペレーションそのものが人の移動制限などでブレーキがかかってしまったため、収拾がつかなくなったようである。

 これは倉庫でも同様で、荷物がさばききれない状況が発生した。ただし、その原因は異なり、eコマースの取引量急増によるものだ。買い物に行けない、行きたくないという社会の要請と消費者心理により、いわゆる非接触化が急速に進行した。

 物流は産業のインフラの1つといわれるが、今や私たちの生活を支えるライフラインの1つともいえよう。だが、いまだに物流は極めて労働集約的な業界である。多くの場面で、サプライチェーンを止めてなるものかと、人々のライフラインを守ろうと、物流従事者たちが日々奮戦している。それは言い換えれば、新型コロナのように人の稼働を下げてしまう事態に対しては非常にもろいともいえる。

 だがしかし、実は物流は足元で変わりつつある。デジタル、テックの導入による変革、いわば物流DX(デジタルトランスフォーメーション)が始まっているのだ。これは新型コロナ以前からじわじわと進んできていた。物流業界の人手不足に端を発する「物流クライシス」によるものだが、この物流DXの流れは新型コロナによって一気に加速する可能性がある。特に、先ほど触れた港と倉庫においては、多くの自動化マシンがSF映画さながらに動き出している。人手を機械に置き換える変革、物流ロボティクスである。

世界の港湾では超巨大な無人ロボットが稼働

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