全国120店舗を超える規模に成長し、中国進出も控える雑貨店の「ロフト」。創業当時からかかわり、トレンド先取り型の売り場づくりを構築してきた同社社長の安藤公基氏は、「雑貨道のマエストロ」と呼ぶべき存在だ。ロフトの最大の強みである「キュレーションビジネス」の強さの秘訣と、その次に見据える展開について聞いた。
※日経トレンディ2020年3月号の記事を再構成
東京・渋谷に1号店を開業してから30年余り、雑貨店の大御所「ロフト」は、5月末時点で全国127店(直営は108店)を展開し、年商1000億円を超えるまでに成長した。昨年は東京・銀座に旗艦店をグランドオープン。さらに今年は中国への直営店出店を控えるなど、攻勢の手を緩める気配は無い。
ロフトのブランド力のさらなる向上に意欲を燃やしているのが、社長の安藤公基だ。1987年にロフトが西武百貨店の一部門として創業したときから関わっている生え抜きで、2016年に現職に就任。いわばロフトの歩みを見つめてきた、レジェンドである。
「ロフトは当初から『時の器』をコンセプトに掲げ、時代の変化をしなやかに映し出す雑貨店を目指してきました」と安藤は言う。日本で雑貨文化が開花したのは、70年代。大型店としてはDIYを起点とした「東急ハンズ」が78年、渋谷に開業していた。ロフトが独自の道を切り開くために取った手段は、「感性に訴え掛ける楽しさを極めること」。都市型ホームセンターとして「機能性」を売りにしたハンズとの違いを明確にするためだ。「ハンズが目的買いなら、我々は見て回るだけで楽しい空間づくりを心掛けよう」と立ち上げメンバーは決意した。
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