※日経トレンディ 2020年6月号の記事を再構成

編集部は3月下旬、「明日から完全テレワークへ移行」となった。記者(36歳・男性)は基本的に仕事を家に持ち帰らないスタンスのため、自宅の仕事環境は未整備。テレワークに詳しいブルームコンセプト 小山龍介氏の意見も聞きながら最強のテレワーク部屋を作り上げた。

 2020年3月下旬、新型コロナの影響から編集部も「原則テレワーク」となった。しかし、記者(36歳・男性)は雑誌をテレワークで作り上げた経験はないし、一人暮らしの自宅に長時間パソコンを使用する環境を用意していない。仕事は会社でと割り切るタイプで、家はソファ&ローテーブルを中心にしたリラックス仕様だ。しかし、明日からは出社はご法度。ここから快適な仕事部屋へと変貌を遂げるまで過酷な戦いが始まった――。

ビデオ会議を行うにも会社支給のメインPCにカメラ、マイクが内蔵されておらず途方に暮れた。当初は、AirPods Proをつなぎ“ビデオなし会議”で対応
ビデオ会議を行うにも会社支給のメインPCにカメラ、マイクが内蔵されておらず途方に暮れた。当初は、AirPods Proをつなぎ“ビデオなし会議”で対応
パソコン作業時にソファではマウスが使えない、ローテーブルでは腰が痛いと家具が全く仕事に適さない。継続的かつ効率的な仕事は難しいと感じた
パソコン作業時にソファではマウスが使えない、ローテーブルでは腰が痛いと家具が全く仕事に適さない。継続的かつ効率的な仕事は難しいと感じた
家にネット回線を引いておらず、スマホによるテザリングを活用していたがアップロードの速度が足りず会社と同じように仕事ができなかった
家にネット回線を引いておらず、スマホによるテザリングを活用していたがアップロードの速度が足りず会社と同じように仕事ができなかった

 まず見直しを迫られたのが、ネット環境だ。これまで家での仕事は簡単なメールのやりとり程度だったため、スマホのテザリングを活用していた。ところが、テレワークとなれば1GBを超える写真データを扱うことも大いにありえる。とりわけ、アップロード速度が問題で、使っていたソフトバンク4Gでテザリングして、試しに2GBのデータをサーバーにアップしたところ時間がかかりすぎて断念した。

 割引額を加味しながら各プロバイダーを比較すると、ソフトバンク光ならスマホ料金と合わせて月額1000円の割引が受けられる「おうち割」が使えると判明。テザリングオプションやかけ放題プランなど自分に不要なものを削り、スマホの料金プランも同時に見直すと、意外にも月の総負担額は同程度で済んだ。テレワークを機に、スマホ料金を見直すのも手だと知る。

iPhoneをウェブカメラに

 いざ部屋の改造に入る前にテレワークに詳しい小山龍介氏に相談し、環境作りの重点項目を決めた。「ビデオ会議対応」「PC快適化」「集中力管理」の3つだ。なかでも、ビデオ会議で取材を滞りなくこなせる環境づくりは急務だった。早速、ある企業からビデオ会議での取材を指定されたが、使っている会社支給のパソコンはカメラもマイクもない。仕方なくiPhoneでビデオ会議取材を敢行するも、画面が小さすぎて資料を共有されても見づらいことこのうえなかった。

 すぐさま、ウェブカメラを買いに走ったが量販店では品切れ、ネットショップでも高額なモデルしか在庫がなかった。そこで、“救世主”となったのが「iVCam」というアプリだ。パソコンとiPhoneの両方にアプリを入れるとiPhoneのカメラをウェブカメラ扱いできる。Zoomでは使用するカメラにiVCamに指定するだけで、問題なくビデオ会議を使って取材できた。

「iVCam」を使いiPhoneをカメラ扱いする
「iVCam」を使いiPhoneをカメラ扱いする
アプリ「iVCam」をパソコンとiPhoneの両方にインストールすれば、iPhoneをウェブカメラとして使える。同じWi-Fiにつなぎ、アプリを起動するだけと簡単だ。パソコン画面にはiPhoneカメラからの映像が映り、Zoomの使用カメラ設定で「iVcam」を指定すればビデオ会議にも使える

 取材を重ねるなかで意外な裏技も発見した。Googleドキュメントを共有し、相手側の「ツール」から「音声入力」をオンにしてもらえば、相手の発言がテキストで自動記録される。取材対象者の協力が必要となるが、後で取材記録を閲覧しやすく非常に便利だ。

Googleの音声入力を活用
Googleの音声入力を活用
取材相手がしゃべった内容をそのまま音声入力でテキスト化できる。Googleドキュメントを共有し、相手側に「ツール」から「音声入力」をオンにしてもらうだけと簡単だ

 iPhoneを使ったビデオ会議をより快適にすべく、スマホを固定するスタンドには「6インチ自撮りリングライト」(selvim)を導入した。風変わりな見た目の商品だが、LEDライトにより顔の印象が劇的に変わる。多人数でビデオ会議をすると、家の照明を逆光にしている人は顔が暗いケースが多い。そのなかでひときわ明るい印象を相手に与えることができた。ビデオ会議以外のときはデスクライト代わりにもなるのも魅力だ。

3つの画面で役割分担
3つの画面で役割分担
リングライトを導入して、正面から顔を照らせばビデオ会議時に顔色が明るく映る。普段はデスクライトとしても役立つ
リングライトを導入して、正面から顔を照らせばビデオ会議時に顔色が明るく映る。普段はデスクライトとしても役立つ
机が狭い場合は光学式ではなく、トラックボールを採用したマウスを使うべき。親指を動かすだけと省スペースかつ快適に操作できる
机が狭い場合は光学式ではなく、トラックボールを採用したマウスを使うべき。親指を動かすだけと省スペースかつ快適に操作できる

 見栄え良く映るならリアルタイムで映像を加工してくれる「Snap Camera」というアプリを使う手もある。Zoomと連携させれば、肌の色の補正もできる。アプリ内には様々なフィルターがあり、Zoom飲み会で試したところ「なんでネコを頭に載せてるんですか(笑)」と話題をさらった。盛り上げ方が難しいオンライン飲み会だが、会話のきっかけづくりになった。

 マイクは「ビジネスで使う場合、接続トラブルが心配なら有線ヘッドセットを選ぶのもあり」(小山氏)というアドバイスを元に、ゲーム用の「Astro A10」(ロジクール)を導入。装着するとしっかりと外部の音を遮断してくれるので相手の声を聞き取りやすい。マイクの感度も高く、音声の遅延もないため取材しやすかった。

 ただ、Bluetooth接続のイヤホンも備えておくと便利だ。所有していたAirPods Proをビデオ会議で使ってみたところ、歩いている最中にスマホで受信した軽めの打ち合わせに飛び入り参加できるなど、自由度が一気に増した。記者としては“二刀流”を勧めたい。

 意外にも役立ったのはスマートスピーカー。自宅で一人で仕事に没頭していると時間の感覚がなくなるうえ、移動が伴わないのでビデオ会議などのスケジュールを忘れがちになる。今回は「Google Nest Mini」を設置して、使い道はビデオ会議のリマインド用とした。仕事開始時に「リマインド。編集会議。13時55分」と声をかけておけば音と光で通知してくれるので、ありがたかった。

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