一見魅力的な製品だが、果たして買って大丈夫といえるのか。製品チェックに秀でた識者が良しあしを一刀両断する。今回は、新方式のスピーカーを搭載した有機ELテレビを評価する。
※日経トレンディ2022年11月号の記事を再構成
●本体サイズ・重さ/幅1227×奥行き348×高さ792ミリメートル・24.5キログラム(スタンド含む)
●画面/55V型有機EL(3840×2160ドット)
●チューナー/地上×3、BS×3、110度CS×3、BS4K/110度CS4K×2
●スピーカー最大出力/計150W
●端子/HDMI×4、USB×3、ビデオ入力、光デジタル音声出力、LAN、イヤホン
薄型テレビは毎年のように新製品が登場するが、高画質化が進む一方で、内蔵スピーカーの音質はいまひとつな製品が多かった。「Netflix」や「Amazon Prime Video」などの動画配信サービスを通じて、本格的に自宅で映画を楽しみたい人の間では、省スペースな外付けスピーカー(サウンドバー)で音の迫力を増す人も多い。
そんな中で、薄型テレビでありながら音質を強化し、立体音響技術にも対応した有機ELテレビ「LZ2000」シリーズをパナソニックが発売した。実は同社は、2019年発売の「GZ2000」シリーズから、メインスピーカー以外に上向きや横向きのスピーカーを搭載するなど、薄型テレビの高音質化をけん引してきた。最新モデルでは、本体下部のメインスピーカーを刷新し、音質や機能性を高めたという。売れ筋である55型の「TH-55LZ2000」(実勢価格38万5000円・税込み)で、その実力をテストした。
「有機ELは暗い」は時代遅れ 地上デジタルも鮮明に映る
まずはテレビ選びで大事な画質からチェックしたい。有機ELは「液晶より暗い」とよくいわれるが、LZ2000で様々な映像を映してみて感じたのは、一瞬「まぶしい」と感じるほどの明るさ(輝度感)だ。画面全体が明るく、出演者の人肌の自然さや、立体感ある美しさを感じられる。
実は、国内の有機ELテレビで使われている有機ELパネルはほぼすべて同じメーカー製なのだが、なぜここまで違いが出るのか。その仕組みをパナソニックでは、「有機ELで画面を単純に明るくすると、放熱性能の制約で安定したパネル発光が難しくなる。そこでLZ2000では、高輝度タイプの有機ELパネルを使用しつつ、背後にあるバックカバーと独自素材の放熱プレートを一体化したディスプレイ構造と独自のパネル駆動で放熱効率を高めた」(パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション ビジュアル・サウンドビジネスユニット商品企画部の真田優氏)と説明する。
21年から採用する「オートAI」の効果も秀逸。これによりNetflixなどの4K映像だけでなく、1440×1080ドットの解像度しかない地上デジタル放送もきれいだ。地デジのニュース番組を映しても、テロップ周りのノイズなどが気にならない。また、YouTubeで1280×720ドット程度の低解像度動画を再生しても、解像度の不足を感じにくかった。
「これまでのAI画質処理には機械学習を使っていたが、21年からの『オートAI』はディープラーニング(深層学習)技術も取り入れている。きれいな映像をより美しく見せるのは当然で、最近は元が低画質のコンテンツを魅力的に見せるように工夫している」(同)
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