一見魅力的な製品だが、果たして買って大丈夫といえるのか。製品チェックに秀でた識者が良しあしを一刀両断する。今回は、カメラで“在庫”を外出先から確認できる冷蔵庫を評価した。
※日経トレンディ2022年7月号の記事を再構成
近年、エアコンや調理家電に通信機能を内蔵してクラウドなどにつなぐ“IoT化”が進んでいる。その波が、2022年には冷蔵庫にまで押し寄せてきた。2月に、アイリスオーヤマと日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立)が相次いでカメラ付きの冷蔵庫を発売したのだ。アイリスオーヤマの「STOCK EYE IRSN-IC30 A-W」(実勢価格12万5800円、税込み)は容量296リットルで2〜3人家族向け。一方、日立は3製品あり、「まんなか冷凍 HXCCタイプ」が617リットル(同38万5200円)と540リットル(同34万9200円)の2種類で、「まんなか野菜 KXCCタイプ」が498リットル(同35万8200円)。すべて4人以上の家庭に対応できる。
これらの製品は搭載カメラによる庫内の在庫確認が利点だが、実は冷蔵庫にカメラを付けるというアイデアは以前からあった。日本国内では東芝ホームアプライアンス(現東芝ライフスタイル、以下東芝)が冷蔵庫のドアポケットに別売りのカメラを取り付けて庫内が撮影できる冷蔵庫を13年に発売。また海外でも、独ボッシュや韓国サムスン電子などがカメラ内蔵冷蔵庫を発表している。しかし、これまでカメラ付きの冷蔵庫には課題も多かった。前述の東芝の製品は、カメラが別売りで、さらに同社の有料ITサービス(月額500円、税別)との契約が必要だったことがネックとなった。当時はスマホの国内普及率が39.1%と低かったことも一因だろう。ボッシュのカメラ付きもまだ最上位機のみで、そこまで普及しているとは思われない。
しかし、20年には個人のスマホ保有率が86.8%に達しているし、今回の2社の製品は月額利用料もかからない。これなら普及する可能性もあるのではないだろうか。その実力を探るため、日立の3モデルのうち、最大の617リットルタイプ(R-HXCC62S)をテストした。
●本体サイズ・重さ/幅685×奥行き738×高さ1875ミリメートル・123キログラム
●定格内容積/617リットル(冷蔵317リットル、製氷室24リットル、冷凍室125+33リットル、野菜室118リットル)
●定格消費電力/電動機95W、電熱装置206W
●年間消費電力量/270kWh
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