一見魅力的な製品だが、果たして買って大丈夫と言えるのか。製品チェックに秀でた識者が良しあしを一刀両断する。今回は、グーグルが発売した手ごろな価格のスマホをジャッジする。

※日経トレンディ2021年11月号の記事を再構成

スマホの「Google Pixel 5a (5G)」(グーグル)をテスト
スマホの「Google Pixel 5a (5G)」(グーグル)をテスト

 スマホ購入時の大幅割引が2019年10月から禁止され、以前より低価格なスマホは増えている。しかし、5G通信に対応したうえで手軽に購入できるスマホは、まだ選択肢が少ない。

 そんな中、グーグルが実勢価格5万1700円(税込み)と比較的手ごろなAndroidスマホ「Pixel 5a(5G)」を21年8月に発売。上位モデルの「Pixel 5」(実勢価格7万4800円・税込み)や前モデルの「Pixel 4a(5G)」(同6万500円)からかなり値下げされた。ただし価格だけなら、もっと安価なモデルが中国メーカーを中心に出ている。新たなPixel 5a(5G)の利点はどこにあるだろうか。

Google Pixel 5a (5G)(グーグル)
実勢価格5万1700円(税込み)
●本体サイズ・重さ/幅73.2×高さ156.2×奥行き8.8ミリメートル・183グラム
●画面/6.34型(2400×1080ドット)有機EL
●プロセッサー/Snapdragon 765G(2.4 GHz+2.2GHz+1.8GHz)
●メモリー/6GB
●ストレージ/128GB
●無線接続/Wi-Fi(IEEE802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 5.0
●バッテリー容量/標準4680mAh(最小4620mAh)

 手に取ってまず気付くのは、上位モデルに迫るボディーの質感を備えていることだ。本体カラーは「Mostly Black」のみで、実際には写真のように深いグリーン。とても大人っぽい色合いで、しっとりとしたマット仕上げが素敵だ。前モデルのPixel 4a(5G)が樹脂(ポリカーボネート)製だったのに対し、新モデルのベースは金属素材。手にしたときに、5万円ちょっとという価格が信じられないほど高級感がある。傷や汚れも目立たないので、長期間気持ちよく使えるだろう。

 画面サイズは6.34型とかなり大きい。低価格モデルでも一般的になってきた有機ELを採用し、画質も上々だ。ただし、画面の書き換え頻度(リフレッシュレート)が60Hzと並で、90Hzや120Hzにした上位機種には及ばない。一方で、大画面ながら183グラムと比較的軽量で、横幅もさほど大きくない。持っていて負担が少ないのは良いと思う。

カメラのレンズは2つだが、AIの補正機能がかなり優秀

 Pixel 5a(5G)の背面カメラは1220万画素と1600万画素の2つで、前モデルからの変更はない。最近流行の高倍率ズーム機能なども搭載せず、派手なスペックではないように見える。

 しかし、このカメラは普通に撮った写真がとても美しい。面倒な設定をしなくても、超広角ではゆがみが少なく補正されるし、暗くても夜景モードにすればとても美しく撮れる。価格が2倍以上する「iPhone 12 Pro Max」と比べたときも、色合いが自然で派手過ぎないのが好印象だった。

 人物などの撮影に向く「ポートレート」撮影も優秀で、複雑な形状の被写体でも、AI(人工知能)がかなり上手に周囲をぼかしてくれる。主役だけがはっきりし過ぎるのではなく、背景の奥行きを判断してうまくぼかす力は、他のスマホより秀でていると感じた。

Google Pixel 5a (5G)の「ここは良い!」

価格の割に高性能なカメラ
価格の割に高性能なカメラ
背面カメラは1220万画素と1600万画素で前モデルと同様
背景の奥行きを判断し、うまくぼかす力に秀でる
背景の奥行きを判断し、うまくぼかす力に秀でる
OSのサポート期間が長い
OSのサポート期間が長い
2024年8月までバージョンアップを保証

 スマホとしての基本性能も見ておこう。プロセッサーはSnapdragon 765Gで、最近の中級モデルでよく採用されているタイプ。ヘビーなゲームもそれなりに快適に動いたし、本体もほとんど熱くならなかった。RAMは6GBでストレージは128GBと十分で、性能に不足を感じることはないだろう。

 バッテリー容量は前モデルの最小3800mAhから2割以上増えて最小4620mAhとかなりの大容量になった。実際に使ってみても明らかに長持ちする。この他、おサイフケータイや防水機能もあるので、メインのスマホとして十分使えるスペックだ。

 低価格モデルなのに優秀だと感じたのは、デュアルSIMモデルであること。SIMトレイに入るのはナノSIM1つだが、別途eSIMにも対応している。これがかなりのプラスポイントだ。eSIMは店頭に出向く必要がなく、契約してすぐに使える。1GBまで無料の楽天モバイルをサブ回線として使ったり、海外旅行で現地の通信会社と契約したりするのに便利だ。アフターコロナで海外旅行に行きやすくなれば出番が増えるだろう。

Google Pixel 5a (5G)の「ここは及第点!」

価格の割に高級感がある
価格の割に高級感がある
しっとりとした金属ボディー(左)。液晶周囲の縁は十分に細い(右)
触れやすい指紋センサー
触れやすい指紋センサー
凹んでいるので手探りでも位置が分かる
大画面だが持ちやすい
大画面だが持ちやすい
iPhone 7/4.7型画面 幅67.1ミリメートル(左)。Pixel 5a (5G)/6.34型画面 幅73.2ミリメートル(右)

「長く使う」という観点なら中国勢のスマホより高コスパ

 5G通信対応の低価格スマホとしてみると、Pixel 5a(5G)のライバルはシャオミの「Mi 11 Lite 5G」(実勢価格4万3800円・税込み)やオウガ・ジャパン「OPPO Reno5 A」(同4万3800円・税込み)など、中国メーカーの製品になるだろう。CPUやストレージなどの基本性能はほぼ同じで、中国勢はより安価。背面カメラのレンズ数も多い。単純にスペックを比較するとPixel 5a(5G)はコスパが劣るように感じるかもしれない。しかし、できるだけスマホを買い替えずに長く使いたいならPixel 5a(5G)が適していると思う。

 というのは、Pixelシリーズは最低3年間のOSアップデートとセキュリティ アップデートが保証されているからだ。Pixel 5a(5G)の場合は24年8月までになる。これに対して、他社のスマホは多くが1回しかOSをバージョンアップしない。2~3年後には、OSが古くなってしまうのだ。またPixelシリーズは、Androidの新バージョンが公開されると、いち早くアップグレードできて新機能が使えるのも良い。

 そして中国メーカーのスマホは、Androidを独自にカスタマイズしたOSのことが多い。例えばMi 11 Lite 5Gは「MIUI 12」、OPPO Reno5 Aは「ColorOS 11」を搭載している。、Pixel 5a(5G)が搭載する素に近いAndroidは、前記のカスタマイズOSよりもシンプルで使いやすく、動作が重くなりにくい傾向がある。バッテリー容量も、Pixel 5a(5G)は中国勢2製品より大きいので、充電回数が少なくて済み、結果的に長持ちするだろう。

 Pixelシリーズにしかない独自機能もいくつかあった。その中で良いと思ったのは「通話スクリーニング機能」。知らない番号からの着信の際に、まずAIが合成音声で応対し、相手の名前や要件を聞き出してくれる機能だ。この他、周囲に流れている曲のタイトルを自動的に検索して、YouTube Musicプレイリストを作れる機能もユニークだ。

 一方で、残念なポイントもいくつかある。1つは、microSDカードが利用できないこと。Pixel 5などこれまでのPixelシリーズでは、「Googleフォト」の容量が無制限になる特典があったので、microSDカードでストレージを増やせなくても問題なかった。しかし、Pixel 5a(5G)はその特典がない。内蔵ストレージが128GBあるので当面は困らないが、不満ではある。

 また、急速充電に対応する18Wの充電器が付属するが、ワイヤレス充電ができないのはちょっと残念だ。

Google Pixel 5a (5G)の「ここは残念!」

ワイヤレス充電できない
ワイヤレス充電できない
USB Type-C充電器が付属
microSDスロット無し
microSDスロット無し
スロットはSIMカード用のみ

 なお、指紋センサーは背面の中央にあり、最近の上位モデルに多いディスプレー内蔵タイプではない。普段使いでは特に困ることはないが、車載アダプターなどに取りつけたときに利用できなくなるのは要注意だ。

【結論】ボディーの質とカメラは魅力 長く使えるスマホの筆頭候補
グーグル純正スマホ「Pixel 5a(5G)」は中国勢に勝てるか(画像)
編集部から:iPhoneには、5Gに対応した安価なスマホがありません。iPhone 13シリーズが発表されましたが、最も安価な「iPhone 13 mini」でも8万6800円(税込み)。20年モデルの「iPhone 12 mini」も6万9800円(同)です。スマホ買い替えの際に5G対応にしたいなら、Pixel 5a(5G)はかなり魅力的だと言えそうです。個人的にはもっといろいろな色が選べるとうれしいのですが……。(編集部・大橋)
グーグル純正スマホ「Pixel 5a(5G)」は中国勢に勝てるか(画像)
ビジネス書作家 戸田 覚氏
プレゼンやIT活用など多様なテーマで150冊以上の書籍を執筆。パソコンやIT製品のレビューを30年以上続けている。2019年からはYouTubeでも動画を配信中。近著に『おうち仕事術 テレワークを最適化する50のテクニック』(翔泳社)
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