一見魅力的な製品だが、果たして買って大丈夫と言えるのか。製品チェックに秀でた識者が良しあしを一刀両断する連載「ザ・ジャッジ」。今回は、中国Xiaomi(シャオミ)の格安スマートウオッチをチェックする。

※日経トレンディ2021年6月号の記事を再構成

Xiaomiのスマートウォッチ「Mi Watch」をテスト
Xiaomiのスマートウォッチ「Mi Watch」をテスト

 2015年に「Apple Watch」が登場してから、スマートウオッチの市場は拡大し続けている。MM総研の調べによると、国内販売台数は19年度実績で191.4万台。20年度は263.5万台まで伸びる見込みだという。近年はアップル以外にFitbit、ガーミン、ファーウェイなど様々なメーカーが参入し、選択肢も増えている。

 そんな中、スマホメーカーとして日本でも最近知名度を上げつつある中国Xiaomi(小米科技/シャオミ)から、低価格スマートウオッチの「Mi Watch」が登場した。といっても、世界的に見ればシャオミはスマートウオッチでも実績のあるメーカーだ。IDC Japanの調べによると、世界ウェアラブルデバイス市場における腕時計型とリストバンド型機器の分野で、20年第3四半期には約1350万台を出荷。アップルの約1180万台を抑えて1位になっている。日本国内でこそ最後発だが、グローバル市場では既にかなりのシェアを獲得しているのだ。

 シャオミが19年12月から日本でも発売しているリストバンド型活動量計の「Miスマートバンド」シリーズは、5000円を切る価格で、Fitbitなど他メーカーの1万円台の活動量計と遜色ない機能を備えていた。ならば1万円台前半のMi Watchは、人気のApple Watchなどに比べてどれだけのパフォーマンスなのか。筆者が持つApple Watch(シリーズ5)と比較しつつ、試すことにした。

Mi Watch(Xiaomi)
予想実売価格1万2980円(税込み)
●サイズ/45.9×53.35×11.8ミリメートル(ストラップを除く)
●重さ/32グラム
●画面/1.39型有機EL(454×454ドット)
●無線通信/Bluetooth 5.0
●センサー/心拍数センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、地磁気センサー、気圧センサー、環境光センサー
●駆動時間/16日間
●対応OS/Android 5.0、iOS 10以降

 スマートウオッチの機能は様々だが、スマホへの着信やメッセージ受信などを知らせる通知機能が基本。その上で、加速度センサー、心拍数センサー、GPS機能などを備え、歩数や活動量、睡眠、各種アクティビティーなどを計測できる製品が多い。このあたりの機能は、Mi Watchもすべて押さえている。

運動計測機能が豊富。測位機能はAppleより上?

 Mi Watchでまず目を引くのが、ランニングやウオーキング、サイクリングなどの運動を記録するワークアウト計測機能の充実ぶりだ。通常のトレーニングだけでなく、ダンスやヨガ、サッカーなど、117種類もの運動に対応しており、よく使うワークアウトを登録すると、右下のボタンを押すだけで計測を開始できる。屋外で走れば「屋外ジョギング」と認識するなど、一部のワークアウトを自動検出してくれるのも便利だ。

 Apple WatchとMi Watchを装着して屋外のジョギングやサイクリングなどを計測したところ、どちらもほぼ正確に移動経路を記録した。経路や距離、時間などの他、ワークアウトパフォーマンスの評価、最大酸素摂取量なども記録する。心拍数や移動ペース、高度の推移、心拍トレーニングに重要な心拍ゾーンの比率なども確認できるので、より効果的なワークアウトの実践に役立ちそう。価格が2倍以上するApple Watchと互角だと言える。

 Mi Watchをすごいと感じたのは、位置情報の失いにくさだ。屋内(幕張メッセ)でイベント取材をしていたところ、Apple Watchは完全に位置情報を見失ったのに対し、Mi Watchは屋内でもある程度移動経路を捕捉していたのだ。屋外よりも不正確ではあったが、GPSの電波を捕捉しにくい屋内でも、ある程度途切れないで記録してくれるのは頼もしく感じた。

ワークアウト計測ではApple Watchに見劣りしない

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