一見魅力的な製品だが、果たして買って大丈夫と言えるのか。製品チェックに秀でた識者が良しあしを一刀両断する。今回は、定番スマホ「iPhone」の新モデルを評価する。
※日経トレンディ2021年1月号の記事を再構成
例年より約1カ月遅れて2020年10月に発表された、アップルの「iPhone 12」シリーズ。発売された4モデルの中で、かなり注目されているのが、小型の「iPhone 12 mini」(以下12 mini)だ。
●本体サイズ/幅64.2×高さ131.5×厚さ7.4ミリメートル
●重さ/133グラム
●画面/5.4型有機EL(2340×1080ドット)
●プロセッサー/A14 Bionic
●カメラ/背面1200万画素、前面1200万画素
●バッテリー駆動時間/最大15時間(ビデオ再生)
ここ数年、スマートフォンの画面は大きくなる一方だったと言っていい。iPhoneも徐々に大画面化が進んでおり、iPhone X以降の機種は最小でも画面は5.8型だった。iPhone 12シリーズでも、標準モデルといえる「iPhone 12」の画面サイズは6.1型だ。とはいえ、画面が大きいのは良いことばかりではない。例えば文字入力。大画面スマホは、片手で持って親指で入力しようとすると、指が届きにくいと感じる。
Androidスマホでは、シャープが19年発売の「AQUOS R2 compact」などの小型スマホで話題を集めたりしていたが、iPhoneでは古いデザインの低価格機である「iPhone SE(第2世代)」(以下iPhone SE)以外に選択肢が無かった。そこに満を持して登場したのが、5.4型画面の12 miniというわけだ。サイズは幅64・2×高さ131・5×厚さ7.4ミリメートルと、iPhone SEよりも一回り小さい。厚さが0.1ミリメートル上回っているが、この程度の差は手で持っても分からないだろう。
基本的なデザインはiPhone 12と同様で、アルミボディーの背面をガラスで仕上げてある。上位機種の「iPhone 12 Pro」はステンレスボディーにつや消しガラスで高級感のある仕上げだが、小型の12 miniにはこの光沢あるデザインの方が愛らしくて合っていると個人的には思う。
アルミを採用したことは軽量化にも一役買っており、148グラムのiPhone SEより軽い133グラムに収まっている。片手持ちでライトに使いたい人には最良のiPhoneだ。
小さなスマホを作るのは技術的にも難しく、コンパクトだから安く作れるわけではない。そう考えると、iPhone 12より1万2100円安価な12 miniはお買い得に感じる。
スマートフォン「iPhone 12 mini」の「ここは良い!」
最安モデルだが美しい有機ELディスプレーを搭載
このコンパクトさにして、画面サイズは5.4型だ。縦横比が違うので厳密な比較ではないが、5.5型画面の「iPhone 8 Plus」など、3~4年前の大画面モデルとほとんど変わらない。画面周囲の縁が細い「狭額縁化」のたまもので、画面上部に前面カメラ用のノッチ(切り欠き)がある以外は、ほぼ全面が画面に見える。通常モデルのiPhone 12と並べてみると、周囲の縁は12 miniの方が微妙に細く、小型化に心血が注がれたことが伝わってくる。
iPhone 12シリーズは全機種、有機ELディスプレイを採用している。液晶ディスプレイだったiPhone SEやiPhone 11などと比べると表示が明るく、黒の締まりがよいので文字も読みやすい。12 miniは、画面解像度も2340×1080ドットと、iPhone 11(1792×828ドット)やiPhone SE(1334×750ドット)を上回っており、緻密に表示される。写真を表示すると美しさの違いが分かる。サイズこそ小さいが、上位モデルとほぼ同様のディスプレイを採用しているのは買い得感がある。なお、ディスプレイの表面は、ガラスとセラミックを組み合わせた新開発の「Ceramic Shield」で、耐落下性能が4倍に向上しているという。
プロセッサーは、iPhone 12 Proなどの上位モデルと同様に「A14 Bionic」を採用している。iPhoneシリーズは下位モデルにも最新のチップを採用するのが素晴らしい。ベンチマークテストをしてみたが、「A13 Bionic」を搭載するiPhone SEより速くなっていた。上位のiPhone 12 Proや同Pro Maxとの性能的な違いはメモリー量になる。アップルはメモリー量を公表していないが、アプリなどで計測すると、iPhone 12 Proなどはメモリーが約6GBあるが、12 miniなどは約4GBになる。
iPhone SEより小さいのに画面は大きい
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