一見魅力的な製品だが、果たして買って大丈夫と言えるのか。製品チェックに秀でた識者が良しあしを一刀両断する。今回は、キングジムの手書きメモ「フリーノ」を文房具の専門家が切る。

※日経トレンディ2020年10月号の記事を再構成

手書きメモのデジタルノート「フリーノ」FRN10(キングジム)をテスト
手書きメモのデジタルノート「フリーノ」FRN10(キングジム)をテスト

 「手書きメモのデジタル化」は、PDA(携帯情報端末)が登場したころからずっと試みられているが、いまだに決定版と言える製品がない。ただここ数年は、iPadで使えるApple Pencilが登場するなどタブレットの低価格化とペン対応が進み、手書きへの関心が高まっていると感じる。近年は、液晶ディスプレイなどに比べて軽く、バッテリーが長持ちする「電子ペーパー」にメモが取れる機器が活況だ。2018年以降、ソニーや富士通、シャープなどが相次いで製品化している。

 製品によって主目的は異なり、富士通の「QUADERNO(クアデルノ)」は、PDFファイルの閲覧と書き込み機能を重視している。ソニーの「DPT-RP1」は、クアデルノとほぼ同じ仕様でネットワーク機能を強化。グループワークを想定した、書類の一斉閲覧などの機能を充実させている。これらは企業での利用がメーンのためか、いずれも画面が大きく、片手で持って気軽にメモという用途には向かない。そこに割って入ったのが、文房具メーカーであるキングジムの「フリーノ」。19年12月から実施したクラウドファンディングで、目標500万円に対して6000万円以上を集めた期待の製品だ。

デジタルノート「フリーノ」FRN10
実勢価格4万6200円(税込み)
●本体サイズ/幅132×高さ175×奥行き10mm
●重さ/240g(ペンを含む)
●バッテリー駆動時間/1日15分ノートを記入し、60分PDFを閲覧して約10日間
●画面/6.8型電子ペーパーディスプレイ(1440×1080ドット)
●内蔵メモリー/32GB
●Wi-Fi/IEEE 802.11b/g/n

 電子ペーパー端末の中では、フリーノは書類の閲覧よりもメモ機能に重点を置いた文房具的な製品だと言える。キングジムでフリーノを開発した東山慎司氏が開発の動機について「紙のメモ用紙やノートを使い分けていると、取ったメモが行方不明になりやすい。自分の取った手書きメモをデジタルで一括管理できる製品を作りたかった」と語るように、実用的なデジタルノートを目指した製品なのだ。

 チェックリスト、スケジュール、方眼紙などの実用的なテンプレートが多数あるのも、メモを重視した文房具メーカーならではだ。様々な種類のメモを取ると、後で探し出せないことがあるが、フリーノなら複数のテーマのメモを一元管理しつつ、時系列で並べ替えたりできる。メモのバックアップが取れるのもうれしい。スケジュールなどはフリーノにメモした後で、Googleカレンダーなどに入力し直すわけだが、それでも一時的なメモ用としては紙より便利だ。テンプレートはもともと手帳を作っていたデザイナーによるもので、今後も増やす予定だという。

 6.8型というコンパクトさは、「実用性とコストのバランスを考慮して画面サイズを決定した」(東山氏)とのこと。メモにはうってつけだ。電子ペーパーのメリットは、太陽光の下でもクッキリ見えて、ページ数を気にせず書け、しかも軽いこと。これを生かすなら、このサイズや240gの軽さが正解だと思う。電子ペーパーは、大きくなるとコストが上がるだけでなく、CPUパワーを相当必要とする。大容量バッテリーを搭載して重くなるよりは、小型で使いやすい方がよい。

デジタルノート「フリーノ」FRN10の「ここは及第点!」

フロントライトがあり暗くても書ける
フロントライトがあり暗くても書ける
色味を変更可能
メモ用の台紙が豊富で実用的
メモ用の台紙が豊富で実用的
罫線やカレンダーなど12種類から選べる
厚さはあるがスマホ並みに軽い
厚さはあるがスマホ並みに軽い
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