天井に照明器具を取り付けるコネクター「引掛シーリング」に装着するという斬新なアイデアで、プロジェクターの置き場所問題を解決した「popIn Aladdin」。弱点だった画質・音質を向上させた次世代機「popIn Aladdin 2」が登場した。AV評論家の折原一也氏が長所・短所を詳細に分析する。
※日経トレンディ2020年8月号の記事を再構成。
自宅を映画館に―─。誰もが憧れる「ホームシアター」だが、導入のハードルは数年前まで高かった。プロジェクターそのものが場所を取るうえ、それにパソコンやDVDプレーヤーなどをつなぐ手間がかかっていたからだ。
しかし2018年11月に発売された照明兼用のプロジェクター「popIn Aladdin」(popIn)が、天井の照明器具用コネクターである「引掛シーリング」に取り付けるという革命的な方法で、プロジェクター設置のハードルを一気に下げた。発売約1年半で累計4万6000台を販売し、18~19年のホームプロジェクター市場でシェア1位を獲得したという。
個人的にも、当時のpopIn Aladdinはファミリー層にプロジェクターを浸透させた素晴らしい製品だったと思う。ただ一方で画質や音質はお世辞にも良いと言えなかった。そのpopInが、画質などを向上させた第2世代モデル「popIn Aladdin 2」(以下Aladdin 2)の先行販売を20年4月から開始。すでに1万台を受注したという。果たして前モデルの欠点はきちんと解消されたのか。実機をテストしてみた。
●サイズ/幅476×高さ145×奥行き476mm
●重さ/4.9kg
●明るさ/700 ANSI ルーメン
●表示解像度/1920×1080ドット
●スピーカー/8W×2
●通信機能/IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.2
●上下可動域/0~32度
●台形補正/水平40度、垂直40度
はりや家具を避けて投写できる ゆがみの台形補正機能も優秀
まずは設置から。Aladdin 2は、ちょっと厚みのあるシーリングライトのような外観だ。重量は4.9㎏と意外に軽い。これは、引掛シーリングの耐荷重が5㎏とJISで定められているからだ。取り付けは照明器具の交換と全く同じで、ソケットに差し込みコードでつなぐだけ。多少力はいるものの、それほど迷わなかった。
一般的にプロジェクターの設置では、本体の置き場所とともに、投写する壁面(スクリーン)を室内でどう確保するかも課題になる。Aladdin 2は天井に取り付けるので本体は邪魔にならないが、逆に設置場所は選べない。引掛シーリングの真正面の壁にはりが出っ張っていたり、エアコンなど動かせない家具があったりすると正面に映せないのだ。Aladdin初代機は映像を下方向に18度まで動かせたが、これでも障害物を避けきれないケースがあった。これをAladdin 2では、新開発の単焦点レンズで可動域を32度まで拡大。壁までの距離が1.5mのときに天井から84㎝も下に映せるようになった。天井付近のはりは楽に回避できるし、最も位置を下げれば壁掛けテレビくらいの高さになるので、天井から投写している違和感は全くない。
また、引掛シーリングの真正面に本棚などがあって避けられないときも、本体を回転させて斜め方向(最大19度)に投写可能だ。いったん画面はゆがむが、映像の台形補正機能があるので長方形に補正できる。今回テストした部屋は引掛シーリング自体が傾いていたため最初はゆがみが大きかったが、問題なく補正できた。
こうした投写位置の調整は、画面を見ながらのリモコン操作で、10分程度で終わる。手間ではあるが、初期設定の一度で済むのだから許容範囲だろう。
popIn Aladdin 2の「ここは良い!」
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