Zoomで英語会議をAIを利用して書き起こすツールや機能が普及し始めている。ただ書き起こしたテキストには不十分なところも散見される。いかにして完成度の高いテキストとして清書するのか。シリコンバレーの著名通訳者であるミッキー・グレース氏に解説していただく。

(出所/Shutterstock.com)
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 この連載もついに最終の話題となりました。締めくくりに書き起こされた文章の「清書」について前編と後編で考察したいと思います。

 ここでの清書とはAI(人工知能)を利用したツールを使って「Speech-to-Text」で作成された文書を確認し、文字起こしの間違いを修正し、完成版を作成することを意味しています。完成版をもとに他言語に翻訳する利用例もありますので、文書として適切な仕上がりにすることが求められます。したがって、言い間違いの修正、構文や文法の誤りの訂正などもこのプロセスに含まれます。

 書き起こしツールの正確度はまだ100%に至っていません。しかし文字起こし精度が良くなったがゆえに、清書プロセスの難易度が上がる面があります。完成版の作成が必要な方は限られていると思いますが、このプロセスを知ることで、会議通訳者の思考回路を垣間見ていただければと思います。皆さんの英語学習にも役立つと思います。

構文解析から始め、口癖を確認

 正確度、すなわち「ちゃんと」聞き取れているか否かの評価は、書き起こされた文章の構文解析から始まります。「S+V」や「S+V+O」などの構造、主節/従属節の論理的な関係、挿入句などの確認です。文が構造的に整えられていないと、文法的な修正作業に進めません。

 次に内容に着目し、意味は通じるのか、同音異義語や類似の発音の聞き取り間違いはないか、コンテキストにそぐわない単語に文字起こしされていないかを確認します。「話者はこう発言したはずだ」と「こう聞こえた」という2つを比較して、マッチさせていく作業とも言えます。

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