
ネットで商品を買うときは、まず「Amazon」で検索する。そんな常識を破壊しようとする、ある新興企業が米国で注目されている。米アマゾンの商品ページを見ている消費者に、より魅力的なオファーを同じ画面で提示。アマゾンから顧客を“横取り”するのだ。楽天の米法人も同様の新戦略を展開。2社の戦略には、アフターコロナの売り方に悩む日本の企業にも役立つヒントが詰まっている。
ネットで買い物をする際に、まずアマゾン・ドット・コムのサイト「Amazon.com」で商品や価格を調べる「アマゾンファースト」は、消費行動として米国でも日本でも、すっかり定着している。
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米グーグルも、商品名での検索に連動したショッピング機能を強化しているが、まだアマゾンの“敵”ではない。「送料が無料になるAmazonプライム会員になっているし、返品も数クリックで完了するから」。そんな事情で、多くの消費者はアマゾンで検索して買い物することに、何の疑問も不満も抱かないのだろう。
だがそんなアマゾンで、新型コロナウイルスの感染拡大により、一部商品の配送が滞るなどの事態が発生。米国では、新型コロナ騒動の前と比べて顧客満足度が下がったという調査も出ている。
そうした状況も手伝い、既存の流通サービス企業がアフターコロナの「アマゾン対抗策として活用できるのでは」と熱視線を送るサービスが2つある。日本の流通企業にとっても、参考になる取り組みだ。
アマゾンの価格表示欄を“上書き”する
1社目は、米テキサス州で創業したスタートアップ企業、ウィキバイ(Wikibuy)である。Webブラウザー「グーグルクローム」上で動く、価格比較とレコメンド機能を持つアプリを提供している。
利用者がアマゾンで検索をして特定の商品を選択すると、連携している複数の会社の価格を横断的に調べて、商品ページの「価格表示」の下に“割り込む”形で、他のサイトで買えばこの価格になる(安くなる)ということを表示する。

上の画像は、米音響機器メーカー・ボーズ(BOSE)のノイズ・キャンセリング・ヘッドホンを検索した画面である。アマゾンでは326.66ドル(約3万4953円、1ドル107円換算)だったが、ウィキバイ経由だと261.58ドル(約2万7989円)ドルと、65.08ドル(約6964円)安く買えることを示している。
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