招待制カレー店が踏み切ったオンライン化 「Zoom卒業」の理由(画像)

本特集では、さまざまな企業のZoom活用について紹介してきたが、Zoomはマーケティングのあらゆるニーズを満たす完璧なツールではない。1度はZoomを使ったコミュニティーを立ち上げながらも、別ツールへの移行を進めた会員制飲食店「6curry(シックスカレー)」にその背景を聞いた。

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 会員制・招待制コミュニティーを運営するシックスカレー(東京・渋谷)の飲食店ブランド「6curry」は、普通のカレー屋ではない。渋谷と恵比寿にキッチン(店舗)があるが、住所は非公開。カレーを軸に、さまざまな人々と交流するコミュニティーの構築を重視している。カレー作りのワークショップ、新しい町づくりの勉強会、企業との連携企画など、毎週のようにジャンルにこだわらない多彩なイベントを開催していた。

招待制・会員制のカレー好きが集まるコミュニティー「6curry」(写真提供/シックスカレー)
招待制・会員制のカレー好きが集まるコミュニティー「6curry」(写真提供/シックスカレー)

 そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、キッチンを開けることが難しくなる。「これまで築き上げたつながりを絶ってしまうのがもったいないと思った。不安なときこそ人とのつながりは大事」(6curryコミュニティクリエイターの廣瀬彩氏)として、2020年4月に「6curry Zoom店」をオープンした。

 アカウントの作成が不要で、URLをクリックすれば誰でも簡単に参加できる点でZoomを選んだ。まずは「やってみよう」の精神でスタートしたという。

「場所」を超えたZoom

 Zoom店では、会員が集まり対話できる場所を用意した。20年4月1~3日、午後8~9時半に開催。用意していたさまざまなトピックについて雑談したほか、連想ゲームなどを楽しんだ。「場所の壁がないので海外在住のメンバーも参加できた」(廣瀬氏)。

 1対Nで話しやすいのがオンラインの良さだと廣瀬氏は話す。「キッチンで1対Nで会話するとき、10分ほどしか集中力が保てないと感じる」(廣瀬氏)。隣の人と話したり、カレーを食べたり、別の人が来店したりするからだ。Zoomだとパソコンやスマートフォンなどに向き合っており、外的要因が少なくなることで「1~2時間くらい集中力が続く」(廣瀬氏)と実感したという。

 そうしたオフラインにはない魅力を感じつつも、廣瀬氏はZoom上でコミュニケーションを取るうえで「各メンバーが何をしているのか分からない」「誰がいるのか分からない」「途中参加のメンバーと情報の差異が生じる」といった難しさを感じたという。

 「リアルで会うと話し方、振る舞い方、服装など、ちょっと会話するだけでもたくさんの情報を得ることができる。誰とでも自由に話しやすい雰囲気も、リアルの場のほうが圧倒的につくりやすかった」と廣瀬氏は振り返る。

 3日間の反省を生かし4月2週目以降は、テーマ・ゲストを決めて事前に告知をした。そしてZoom店開店直前には、Instagram(インスタグラム)のストーリー上でゲストを紹介する告知ライブを配信。「インスタライブでコメントをくれた人がZoom店にも遊びに来てくれるようになった」(廣瀬氏)という。