
新型コロナの感染拡大以降、突如としてマーケティングツールの急先鋒(きゅうせんぽう)に躍り出たWeb会議システム「Zoom」。だが、提供元である米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズですら想定しなかった利用法ゆえに、機能面で不十分な点が多い。マーケターはZoomマーケティングが抱える4つの弱点を理解して、活用する必要がある。
【第2回】Zoomは魔法じゃない マーケ活用には客同士の交流促進がカギ
【第3回】Zoomと組み合わせて使うべきツールは 楽天大学・仲山学長が語る
【第4回】焼肉コースをZoomで再現 参加者の5割がリピート購入する訴求力
【第5回】「あと一押し」に効く驚きのZoom接客 メールやLINEに勝る点は?
【第6回】Zoomマーケが抱える4つの弱点 ツール連携で見込み客育成も←今回はココ
【第7回】招待制カレー店が踏み切ったオンライン化 「Zoom卒業」の理由
【第8回】プリンスホテル内でファンがつながるZoom観戦 自宅にない連帯感
これまで5回にわたって、Zoomマーケティングの可能性や実際に駆使する企業事例を紹介してきた。特集でも再三記述してきたが、Zoomはマーケティングを目的として開発されたツールではなく、あくまでWeb会議システム。それが新型コロナウイルスの流行に合わせて、ビジネスパーソンだけでなく一般層にまで急速に広がったことで、突如マーケティングツールとして白羽の矢が立った。リアルでは実施しづらいイベントや接客の代替として、導入企業の主導の下、本来の用途とは異なる形で活用が進んだ。そのためマーケティング活用では機能面で不十分な点もある。
米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの日本法人ZVC JAPAN(東京・千代田)の佐賀文宣カントリーゼネラルマネージャーは「Zoomは接客に特化したソリューションではない。新型コロナの流行下において、色々な特色を持ったサービスが新たに登場している。より適したツールがあるはずで、全てのコミュニケーションがZoomである必要はない」との考えを示す。Zoomとしてはマーケティング機能を開発する計画はなく、既存のマーケティングツールとの補完関係を維持する方針だ。
より効果的に活用するには、Zoomマーケティングが抱える4つの弱点を理解し、それを補うために他のツールと連携したり、より適したツールと組み合わせたりして活用する必要がある。
Zoomマーケティングが抱える1つ目の弱点は「データ活用」ができないことだ。マーケティングツールではないため利用データを取得し、分析結果を基にマーケティング効果を高めたいと考える企業のニーズにZoom単体では対応できない。そこで、マーケティング支援ツール開発の米ハブスポットはマーケティングツール「HubSpot」とZoomを連携することでこの弱点を補完して、見込み顧客の育成やCRM(顧客関係管理)に活用できるようにした。主にBtoB(企業間取引)企業のマーケティングに効果的だ。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。