新型コロナの感染拡大以降、突如としてマーケティングツールの急先鋒(きゅうせんぽう)に躍り出たWeb会議システム「Zoom」。だが、提供元である米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズですら想定しなかった利用法ゆえに、機能面で不十分な点が多い。マーケターはZoomマーケティングが抱える4つの弱点を理解して、活用する必要がある。

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 これまで5回にわたって、Zoomマーケティングの可能性や実際に駆使する企業事例を紹介してきた。特集でも再三記述してきたが、Zoomはマーケティングを目的として開発されたツールではなく、あくまでWeb会議システム。それが新型コロナウイルスの流行に合わせて、ビジネスパーソンだけでなく一般層にまで急速に広がったことで、突如マーケティングツールとして白羽の矢が立った。リアルでは実施しづらいイベントや接客の代替として、導入企業の主導の下、本来の用途とは異なる形で活用が進んだ。そのためマーケティング活用では機能面で不十分な点もある。

 米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの日本法人ZVC JAPAN(東京・千代田)の佐賀文宣カントリーゼネラルマネージャーは「Zoomは接客に特化したソリューションではない。新型コロナの流行下において、色々な特色を持ったサービスが新たに登場している。より適したツールがあるはずで、全てのコミュニケーションがZoomである必要はない」との考えを示す。Zoomとしてはマーケティング機能を開発する計画はなく、既存のマーケティングツールとの補完関係を維持する方針だ。

 より効果的に活用するには、Zoomマーケティングが抱える4つの弱点を理解し、それを補うために他のツールと連携したり、より適したツールと組み合わせたりして活用する必要がある。

「Zoomマーケティング」が抱える4つの弱点
「Zoomマーケティング」が抱える4つの弱点
「データ活用」「効果測定」「接客管理」「大人数での会話」という4つの弱点がある。これを理解して、マーケティングツールなどと連携して活用することが重要だ
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 Zoomマーケティングが抱える1つ目の弱点は「データ活用」ができないことだ。マーケティングツールではないため利用データを取得し、分析結果を基にマーケティング効果を高めたいと考える企業のニーズにZoom単体では対応できない。そこで、マーケティング支援ツール開発の米ハブスポットはマーケティングツール「HubSpot」とZoomを連携することでこの弱点を補完して、見込み顧客の育成やCRM(顧客関係管理)に活用できるようにした。主にBtoB(企業間取引)企業のマーケティングに効果的だ。

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