「Zoomの最大の弱点の1つが、何人集まったとしても常に1人しかしゃべっていられないこと」と楽天大学学長の仲山進也氏。FacebookやGoogleドキュメントなど、非同期コミュニケーションツールをうまく活用してコミュニケーション量を最大化することが活性化のコツだと言う。

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 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、急成長したサービスといえば米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのオンライン会議システム「Zoom」だ。従来は企業向けの会議システムにすぎなかったが、「Zoom飲み」という言葉が生まれるなど、一般消費者にも浸透した。ファンミーティングやオンライン接客など、企業にとってもZoomは顧客コミュニケーションの手段として広がりつつある。果たしてZoomは新たなマーケティングプラットフォームとして定着するのか。

 第3回のテーマは第2回に引き続き、「Zoom の活用はECやマーケティングの強化につながるか」。 20年にわたって数万社の中小・ベンチャー企業を支援してきた、楽天市場出店者向けの学び合いの場「楽天大学」の学長を務める仲山進也氏へのインタビューの後編をお届けする。

楽天大学学長の仲山進也氏は創業期(社員約20人)の楽天に入社。楽天大学を設立し、出店者コミュニティーの醸成を手がける。楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業・勤怠自由)となり、仲山考材を設立。オンラインコミュニティー型プログラムを提供する(写真:守谷美峰)
楽天大学学長の仲山進也氏は創業期(社員約20人)の楽天に入社。楽天大学を設立し、出店者コミュニティーの醸成を手がける。楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業・勤怠自由)となり、仲山考材を設立。オンラインコミュニティー型プログラムを提供する(写真:守谷美峰)

仲山 コミュニケーションの形を「多人数か少人数か」「同期か非同期か」の2軸で考えるのも有益です。そもそもネットの特徴の1つに「非同期コミュニケーションがやりやすい」というのがあるんです。

Zoomなどの同期コミュニケーションを活性化するには、SNSや共同編集ツールなど「非同期コミュニケーションツール」の活用がカギ
Zoomなどの同期コミュニケーションを活性化するには、SNSや共同編集ツールなど「非同期コミュニケーションツール」の活用がカギ

仲山 Zoomや電話のように、同じ時間を共有しながらコミュニケーションをするのが同期。それに対し、メールなど、書いた時間と読まれる時間が異なっているのが非同期です。

 コミュニケーションの量という視点で考えてみると、リアルのお店での接客は同期コミュニケーションだから、1人のお客さんに1時間対応したら、1人分のコミュニケーションしか生まれません。それに対して、お店の人が接客のときにしゃべっていることをネットショップの商品ページに書き、1000人がアクセスして読んでくれれば、1000人いっぺんに接客できることになる。これがネットの非同期コミュニケーションの強みです。

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