
楽天大学学長の仲山進也氏は「変化の時代には店とお客さんだけでなく、お客さん同士も交流する『1対n対n』スタイルで商売を構成していく重要性が高まる」という。Zoomはお客さん同士の顔が見える場をつくることができ、使い方次第で「1対n対n」の「n同士のつながり」が生まれやすくなる。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、急成長したサービスといえば米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのオンライン会議システム「Zoom」だ。従来は企業向けの会議システムにすぎなかったが、「Zoom飲み」という言葉が生まれるなど、一般消費者にも浸透した。ファンミーティングやオンライン接客など、企業にとってもZoomは顧客コミュニケーションの手段として広がりつつある。Zoomは新たなマーケティングプラットフォームとして定着するのか。第2回のテーマは「Zoom の活用はECやマーケティングの強化につながるか」。
緊急事態宣言が解除されて営業を再開したものの、外出自粛によって客数が激減している実店舗。その挽回策としてECを始め、Zoom を使ったオンライン接客やイベントを実施して売り上げ確保や顧客関係強化を図る動きも出てきている。果たして、Zoomの活用はECやマーケティングの強化につながるのか。20年にわたって数万社の中小・ベンチャー企業を支援してきた、楽天市場出店者向けの学び合いの場「楽天大学」の学長を務める仲山進也氏に聞いた。
【第2回】Zoomは魔法じゃない マーケ活用には客同士の交流促進がカギ←今回はココ
【第3回】Zoomと組み合わせて使うべきツールは 楽天大学・仲山学長が語る
【第4回】焼肉コースをZoomで再現 参加者の5割がリピート購入する訴求力
【第5回】「あと一押し」に効く驚きのZoom接客 メールやLINEに勝る点は?
【第6回】Zoomマーケが抱える4つの弱点 ツール連携で見込み客育成も
【第7回】招待制カレー店が踏み切ったオンライン化 「Zoom卒業」の理由
【第8回】プリンスホテル内でファンがつながるZoom観戦 自宅にない連帯感
実店舗でやっていることをいかにネットに置き換えるか
――外出自粛でZoomが一気にブレイクし、動画を介したコミュニケーションが会議や打ち合わせだけでなく、接客やファンミーティングなどマーケティングのツールとして広く使われ始めています。
楽天大学・仲山 進也学長 コミュニケーションのツールは、相手が使ってくれないと使えません。電話をかけたくても、相手が電話を持ってなかったら使えない。そういう意味で、今回のZoomのブレイクは、全世界の人が一気に使い始めたのが画期的だと思います。「Zoomで話さない?」「いいよ」が成り立ちやすくなりました。ただコミュニケーションツールとしては前々から「Skype」「FaceTime」など動画を使ったものはあったので、Zoomが出てきて革命が起こるといったことを期待し過ぎるのは違うかなと思っています。
――ECをやっている人たちの間で、Zoomを組み入れようという動きはありますか。
仲山 ありますが、まだ多くはない印象です。Zoomをみんながみんな活用できるかというと、そうでもないのかなと。
僕は楽天で20年間、ネットショップをやり始めた人たちに「実店舗と本質は変わらないんだな」と気づいてもらうお手伝いをしてきました。そうすると、「実店舗でやっていることをいかにネットに置き換えるか」を自分で考えて動けるようになるんです。
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