
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況で、ビジネスパーソンや学生の自宅待機が長引いている。こうしたなか急激に利用が伸びたのがビデオ会議サービスのZoomだが、関連する経済圏が拡大している。大型イベントの開催が極めて難しい状況下、どのようにして従来同様のサービスを提供するのか、オンラインならではの価値を提供できないのか。模索が始まった。
自宅待機で多くの人が初めて触れ、利用が急増し続けているのがビデオ会議サービスの「Zoom」である。自宅から仕事を行うワーク・フロム・ホーム(WFH)で標準的なサービスに急浮上した。2019年末に1000万人だった利用者は、実に30倍の3億人を超えた。
こうしたなかZoomを開発・提供する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(Zoom Video Communications)は、市場拡大に向け本格的な施策を実行に移し始めた。
2020年7月15日、ズームはWFH向けの機器の仕様などを定めた「Zoom for Home」を発表。機器メーカーの米DTENが27型ディスプレーやタッチパネル、カメラ、マイクなどを搭載したビデオ会議専用のハード「DTEN ME」を同年8月に投入することを明らかにした。価格は599ドルである。
ビデオ通話をしながら、画面上のホワイトボードで共同作業ができるのが特徴だ。ビデオ機能も高スペックだ。カメラの数は3つで、水平方向の画角は160度と広い。撮影可能な距離は最大16フィート(約5メートル)としている。マイクの数も8個と多く、16フィート先まで集音できるという。適用できる部屋の広さを約5×5メートルとしている。ステレオスピーカーも内蔵する。
これまでズームのサービスは業務用途が中心で対応する機器メーカーもBtoBのオフィスでの利用を想定するものだった。WFHの普及で家庭市場にも生態系を拡大したい考えだ。
家庭におけるビデオ通話機器には既に、米グーグル「Google Nest Hub」、米アマゾン・ドット・コム「Echo Show」、米フェイスブック「Portal」といったGAFA勢がひしめく。ズームは外部のハードベンダーを呼び込んで経済圏を拡大し、差異化を図る考えだ。
エバーノート創業者がZoom味付けサービス
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